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2010年3月7日日曜日

長期休暇の「ボトルネック」解消は経済効果をもたらすか?

ゴールデンウィークに旅行の計画を立てようとしても、宿がとれない、チケットがとれない、車が混む、と気を揉めたことがある人もいるのではないか。

先週、そういったストレスを解消する画期的な試みを話し合う話し合いが始まった。

渋滞・混雑を緩和することで観光需要を掘り起こし、消費・雇用を喚起することを目的に、政府の観光立国推進本部(本部長・前原誠司国土交通相)は3日の作業部会で、春と秋の大型連休を地域ごとに分散する試案を提示したという。

これは、もともと星野リゾートで有名な星野佳路氏が政府に提起していた案がベースとなっているようだ。


星野リゾートの事件簿

昨年3月の政府主催の「有識者会合」で、星野氏は、5月の連休を地域別にずらすことで混雑の解消や観光需要の平準化を図るなど、「休日改革」の持論を説明していた。

それでは、今回の具体的な案は、どういう内容だったか確認してみよう。

・ 試案では全国を5地域に分ける。

・ 春と秋に地域ごとに週をずらして3日分の休みを月曜日から水曜日に配置し、土日を合わせ五連休にする。月曜から水曜に配置する地域と、水曜から金曜に配置する地域を組み合わせる案も。

・ 春は憲法記念日(5月3日)、みどりの日(同4日)、こどもの日(同5日)の3日分を活用。秋は海の日、敬老の日、体育の日を、それぞれ7月20日、9月15日、10月10日に固定して3日分の休日を確保。




詳細はいろいろあるにしても、私は、今回の話を聞いて、素晴らしいプランだと思った。

なぜならば、政府はほとんど予算を掛けずに景気を喚起することができる一方で、我々一般消費者は、交通機関や宿泊・観光施設の混雑に煩わされることなく、休日を楽しむことができるからだ。

たかが休日、されど休日、休日を過小評価してはいけない。

ある調査では、「成人の日」「海の日」「敬老の日」「体育の日」を月曜日に変更するという「ハッピーマンデー法」の経済効果について、年間7,000億円~2兆円の効果があると推測されているという。

また、今回の連休の変更でより休暇が多くなるという前提で考えれば、経済産業省・国土交通省・自由時間デザイン協会 (2002)の有給休暇の完全取得によって、約12兆円の経済活性化効果があるとした試算も参考になるかもしれない。

3連休と5連休といった連休期間の違いや、年2回という連休回数をどう考えるかによって、今回の地域毎の連休分散の効果も変わると思うが、少なくとも1兆円くらいの上積み効果は出てくるのではないか。

また、連休が分散されることで、従来は、この週で終わり、とされていたものもも、分散期間全般にわたるために、サービス業に従事する方々の安定雇用という影響も見込まれるだろう。

ということで、万事、いいことづくめのように思えるが、産業界の反応は、今のところ、冷ややかなようだ。

主な声を拾ってみよう。

・ 「製造業では工場により休日が異なると、在庫増加や納品までの期間延長につながり、国際競争力に影響する。地域ごとに金融機関や青果市場などの営業日が異なると企業の資金繰りや食材の調達にも支障が生じかねない」(日本経団連)

・ 「全国展開している企業の業務効率が落ちることが予想されるし、本来の祝日の意味がなくなってしまうという議論もある。地域分散型の連休創設による手形決済日のずれが、企業の資金繰りに影響」(日本商工会議所・岡村正会頭)

善し悪しは別にしても、既にグローバルなオペレーションが、一般化しようとしているなかで、上記のようなコメントに対して、やや時代錯誤的な印象を受けるのは私だけだろうか。

また、石原慎太郎 東京都知事はこう言っている。

・「無意味な試みだと思う。観光客の移動を考えればナンセンスな案だ」

・「頭の悪い政治家が考えたんじゃないの。官僚は小利口だからそんなことは考えないと思うな。ただの思いつき、大反対だ」

一言でいうと製造業と自民党の重鎮には、受けが悪いようである。

前述については、産業別抗争(2次産業vs.3次産業)、後述については、政党間対立(自民党vs.民主党)の色彩が強く、いずれも消費者の目線での指摘ではなさそうだ。


また、マクロ経済でみれば、政府は借金だらけだが、国民はそうではない。

1,500兆円ともいわれる個人資産をどうやってポケットから引き出すか。

しかも、政府の予算をほとんど掛けずに、しかも、我々、国民ひとりひとりがメリットを享受できるなら、やらない手はないではないか。

皆さんは、地域別に連休を変える今回の試みは賛成であろうか?それとも反対?


K

P.S.

週一回更新してきたブログですが、大学での講演準備に備えるため、来週からしばらくお休みしたいと思います。

仕事を続けながら、準備をするとなると、週末しかまとまった時間がとれなくなるためです。

もちろん、その時々の時事ネタの意見をご紹介したいときは更新させていただきますが、不定期となることは十分に予想されますので、ご容赦ください。

それでは、また、皆さんに私の意見をご披露できるのを楽しみにしております。

2010年2月13日土曜日

雇用創出を真剣に考えるべし ~ 政治スキャンダルで騒いでいる場合ではない

Santa Monica1_S.jpg
(写真は失業者対策では全米でも有数というSanta Monicaの夕日。知人提供)


私が知る限り、最近のテレビをはじめとしたメディアが取り上げる話題と言ったら、小沢幹事長の資金管理団体を巡る「政治とカネ」の問題、普天間基地移設の問題、ハイチの震災の話題に、ほぼ集約されるのではないかと思う。

各々、重要なことであるのはわかるが、今、日本でもっと真剣に考えるべき課題があると思う。

それは雇用についてだ。

なぜ、これについて、政治家もメディアも、積極的に取り上げないのか、不思議である。

また、デフレについて問題視する声のなかには、低価格で商品を提供するファーストリテイリングのような企業を批判するという、お門違いの指摘すらある。

マクロ経済のセオリーでいれば、結局のところ、労働者の所得が上がるか、市中に回るお金の供給量が増やすか、政府が需要を作り出すかしないと、モノの値段は上がらない、つまり、デフレは脱却できない、ということになっている。

政府が需要を作り出すのは今の日本の「台所事情」では厳しい、金利は地を這うような状況なので日銀としては市中に回す手段が限られる(お金を刷るという方法を日銀がやりたがらないのは問題だと思うが・・・)、となると真正面から雇用対策に取り組む政策が必要なはずなのだ。


先月、今年度の補正予算が通過した。

「雇用、環境、景気」が予算編成の「3本柱」だそうだが、総予算7.2兆円のうち、雇用対策は6,140億円に過ぎず、全体の1割にも満たない。

3本柱の1本なら、3割くらい回しておいて欲しいが、所詮、その程度の重要性という認識の裏返しなのだろう。

労働者を支持母体とするはずの民主党(社民党も)が、なぜ、雇用の問題を真正面から受け止めて、限られた予算をつかいながらも、明確な対策を打たないのか、私は不思議である。

1次補正の予算減額やJALの例は典型だが、自民党との政策の違いを打ち出すことを意識しすぎるあまり、早期の景気回復の機会を失わせ、何万人という単位の職が失う事態を容認している。

昨年来からのお金にまつわる、鳩山首相、小沢幹事長のスキャンダルは、高い失業率となっている状況を鑑みれば、やや浮世離れの感さえある。


そんななか、日経新聞はアメリカ政府の雇用創出にむけた取り組みを特集した。

中間選挙を踏まえ、大手金融機関への規制と並び、国民の支持を得たいという政治的な意図を感じるが、大統領以下、政府・地方自治体が、雇用創出に真剣に取り組んでいる様子が伺える。

まずは、雇用状況の解説から。

・ 米国が08年以降に失った雇用は約840万人。特に痛手を受けたのが建設業と製造業で、2業種で失った雇用は約400万人と全体のほぼ半数。

そして、雇用の受け皿の取り組みを紹介している。

(環境)
<政府>
・ オバマ政権は10年間で500万人の「グリーン・ジョブ(環境関連雇用)」創出を表明。約800億ドルを環境企業への減税や融資にあてる。マサチューセッツ大学の試算では、1,000億ドルの投資で2年間に200万人の新規雇用を生み出せるという。

・ 米政府は、昨年11月に工事1件あたり最大1万2,000ドル(約108万円)の補助金を出すことを決めた。住宅の省エネ化は温暖化対策に加え、仕事のない建設業者を助ける一石二鳥の効果がある。

<民間部門>
・ マサチューセッツ州のベンチャー企業コナルカは、閉鎖したポラロイドのフィルム工場を再開発。従業員20人や生産機械を引き継ぎ、08年から太陽光で発電できるプラスチックを生産。

・ 電気自動車メーカーのフィスカーもGMの工場と従業員を引き継いだ。

(転職支援)
<政府>
・ オバマ政権は、景気対策費から120億ドル(約1兆500億円)を投じ、高校と4年制大学の中間に位置する2年制大学のコミュニティーカレッジの教育プログラムを充実させ、今後10年で500万人を卒業させる目標を掲げる。このコミュニティーカレッジでは、機械整備や看護師などの職業訓練が受けられる。米・労働省によると、2018年までに米国で生まれる新規雇用は約1,500万人のうち4分の1近くを病院職員や看護師、在宅医療サービスが占める。看護師の約半数はコミュニティーカレッジで資格を得るとされるが、カレッジを強化する政府の方針も将来の労働市場の変化をにらんでいる。

<地方自治体>
・ ニューヨーク市は昨年春、金融機関の退職者を集め、新興企業にあっせんする事業を始めた。ウォール街の大量リストラで職場を追われた若手トレーダーやアナリストをメディアやマーケティングの企業に10週間派遣。半数が正社員などの契約にこぎ着けた。

(企業への雇用支援)
<政府>
・ 大統領は、雇用を増やした中小企業に、従業員1人につき5,000ドル(約45万円)を税還付する案を超党派で合意にこぎつけようとしている。この雇用対策で、企業が払う社会保障税の一部も免除し、人を雇うコストを下げる。米経済政策研究所(EPI)は、税額の15%還付で最大280万人の雇用が生まれると試算。公共投資と違って、業種や規模に偏りなく効果が期待できる利点もある。
 

景気は浮上しつつあるものの、その恩恵は大手金融機関に限られ、失業率が減らず、事態はほとんど「Change」していないとも批判されるオバマ政権だが、打つべき手は打とうという姿勢が伺える。

特に、コミュニティーカレッジの支援は、中期の労働市場も睨んだうえでの対策と言え、極めて戦略的とも言えるだろう。

一方で、日本の民主党はどうか?

テレビなど影響力のあるメディアが、冒頭申し上げたような、スキャンダルしか報じないせいか、そもそも報じるような雇用対策が政府にないのか、今の政権ではほとんど動きが見えず、効果的な対策が練られている気配すら感じられない。

むしろ、宮城県、神奈川県、徳島県を筆頭に地方自治体のほうが、雇用対策に積極的という印象だ。

今のような政府の対応に危機感すら感じる今日この頃だが、皆さんはどのような感想を持たれるだろうか?

忌憚なき、ご意見をお寄せいただければ幸いである。

K


脱デフレの歴史分析

2010年2月6日土曜日

2つの矛盾した政策から考える民主党の課題

今週、民主党の重点施策というべき、2つの政策について具体的な内容が明らかになった。

いずれも、産業構造を変えかねないものだけに、マスコミでの注目度も高かったようだ。

ひとつは高速無料化の対象区間や実施時期のこと、もうひとつは温暖化ガスの25%削減に向けたロードマップである。

両方の政策ともに、生活者視点を重視する民主党らしさが伺えるのだが、どうもその2つの組み合わせがしっくりこない。

片方は車での移動を活性化させるという意味で温暖化ガスの増加を促すものだが、もう一方は、国内のみならず、諸外国とも連携して温暖化ガスを削減しようというもの。

克服しようとする課題が、各々、違う場合もあろうが、それによってもたらされる結果が、相矛盾するというのはいただけない。

ここらへんが、グラウンド・デザインを描く司令塔がいないと言われる民主党の課題だ。

3日付の日経新聞では、下記のように指摘している。


 「地域と経済を活性化します」――。民主党はマニフェストで高速無料化の狙いをこう訴えた。ただ、今回の無料化政策が地域にどれだけの経済効果をもたらすのか、今の時点では何も見えない。10年度予算編成で大きく道路整備の予算が削られた地方からは「無料化よりも必要な道路整備を」との声も上がる。


今回は実験のフェーズとはいえ、そもそも経済効果の目途がはっきりしない政策に、1,000億円の予算を割くのはいただけない。

しかも、今回、対象となる路線は、政治的な判断の賜物であるようにも感じられる。

言い換えれば、地域との交通網の促進で経済を活性化するという崇高な目的が、無料化で特定地域にメリットをもたらし、夏の選挙対策を行っているとも解釈できる。

一方で、温暖化ガス削減においても、その活動によって生じる経済的な付加価値も見えづらい。

結局、今回の政策を一例に感じるのは、日本の景気をダイナミックに回復させたうえで、経済界も生活者もその利益を享受しながら、そこから得られる税収で財政を健全化させようという意思がみられないということだ。

子ども手当もそうだが、そもそも乾いた雑巾を絞るような感覚に近い政策を推し進め、これまでの日本の「貯金」や将来得られであろう「富」を使いきろうとしているような気がするが、みなさん、いかがお感じであろうか?

「生活者視点」というメッセージは、国民にはとても心地いい。

しかし、企業が業績を上げられず、従業員は満足な定職が得られない状況が続くようにしながら、政府の支出だけに頼るっては、いつまでも「生活者視点」の政治は行えないだろう。

貯金を取り崩すような政策しか押しだせないのは、今の政権の弱みだ。

だから、短期的に、国としてどうやって富を生みだす政策を推し進めるか、それが、国民の日常生活にも波及できるようにするか、それが民主党政権に課せられている喫緊の課題のはずだ。

最近、読んだ「市場対国家」で、サッチャー元首相のコメントがこう引用されている。

(政府の役割の役割はなんなのか、という問いかけに対して)
『第一に、財政を健全にすること。第二に、法律の適正な基盤を作り上げ、産業、商業、サービス、政府がいずれも活発になれるようにすること、第三に、防衛がある。教育が第四で、これは機会を得る道になる。第五は、社会保障だ。』


市場対国家 上巻 世界を作り変える歴史的攻防 (日本経済新聞社)


サッチャーリズムで語られる新自由主義は、その後の金融業界の暴走や格差社会を生みだしたとも指摘もされるが、そもそも、富を生み出せなければ、教育・社会保障の向上も実現できないとする、このメッセージは説得力がある。

サッチャーが語る最初の3つを額面通りに今やったら大変なことになるものの、しかし、一時的な政府予算の膨張は、あくまで、将来の財政健全化を前提に行うべきで、健全化された財政のなかで始めて、安定した社会保障が実現できるというものだろう。

財務省が4日、国会へ提出した2010年度予算案の参考資料で、国の財政を巡って「借金」が税収を上回る異常な事態が長期化するとの試算を示した。

少なからず、いたずらに予算を膨張させかねない、民主党政権へのけん制とも感じられるが、そのなかで、歳出削減や増税などの税制改革を進めない場合、2013年度は税収が40兆7千億円にとどまる一方、国債発行額が55兆3千億円に達する可能性を示唆している。

言い換えれば、来年度から少なくとも3年間は借金による国家運営が余儀なくされると指摘しているわけで、そうなったら、昨今のJAL問題ではないが、年金を含む社会保障へのしわ寄せは避けられなくなるだろう。

だからこそ、富を生み出せるようになる政策が必要なのだが、民主党にはそこに至るロードマップが欠けていると思うが、皆さんは、どんな意見をお持ちだろうか。

忌憚なきご意見をお寄せいただければ幸いである。

K

2010年1月17日日曜日

相次ぐ政治スキャンダルで得をするのは誰か?

昨年末の鳩山首相が実の母親から多額の現金を受け取っていたことということに続き、以前よりくすぶっていた民主党・小沢幹事長の「陸山会」の土地購入をめぐる政治資金の虚偽記載の問題が、ついに逮捕者を生む結果となった。

昨年の総選挙で政権を獲得し、予算の無駄やその背後にある政治とカネの問題に鋭くメスを切り込むことを期待された民主党にとって相当な痛手であろう。

いわずもがなであるが、事実を解明し、事件性があるものについては、法に則って裁かれるべきで、個々のスキャンダルは適正に対処されるべきである。

よって、当たり前のことであるが、政治的な立場を利用して、法を犯すことがなきよう、政治家自身は襟を正さねばならない。

これら一連のスキャンダルをみるにつけ、事態が深刻だと思うのは、我々の国のトップ、及びその出身政党が、政治を取り組むうえで、腰が据わらないまま、脆弱な状態が続くことが国民にとってHappyかどうかである。

選挙で選ばれて生まれた政権なのだから、理屈としては、その政権は国民の総意が反映されていることになるが、日本国民が選んだはずの政党、及びそのトップがスキャンダルやよくわからない理由で足元をすくわれたり、交代するという事態は、国民にとっても喜ばしいこととはいえないだろう。

そういった図式でみると、結局は、国民がダメージを受けているといえるかもしれない。

言い換えれば、これは国民と政治をつなぐ機能・システムへの打撃であり、政権が変わることで適切に時々の民意の変化を反映させるという、本来のメカニズムが達成できない、ということにつながりかねない。

小泉政権以降、毎年、首相が交代するような状況がつづき、その他もろもろの弱さを露呈した自民党が昨年の選挙で惨敗、期待されて誕生した鳩山政権も窮地に立たされている。

そんな一方的に不幸な環境にあると思えるなかで、得をしている人はいるのだろうか?

米・コンサルティング会社「Eurasia Group」が発表した、今年の10大リスクのなかで、「日本」を5番目に掲げていることを紹介している。

「The new Democratic Party of Japan’s (DPJ) efforts to limit the influence of bureaucrats and industrialists are creating higher policy risk, especially after upper house elections in the summer.」
(興味のある方は、英語の原文を参照)

それについて、1月5日の読売新聞は、下記のように紹介している。

「発表によると、「官僚と産業界の影響力を制限しようとする民主党の活動が、より高い政治的リスクを生み出している」と指摘。鳩山首相を「選挙だけでなく、効果的な意思決定にも長(た)けていない」と酷評し、「今年1年と続かない可能性がある」とした。また、「真の実力者である小沢民主党幹事長は閣外におり、正式の政策(決定)ラインからも隠れている」と、解説している。」

政治・官僚・財界の3つの関係は、いつも取り沙汰されていることではあるが、自民党時代に比べ、より政治指導色を強めようとしている民主党にとって、特に官僚との関係で利害が相反することが考えられる。

官僚制度にメスを入れようとした民主党政権に対して、決して前向きな反応を示さなかったであろうことは、想像に難くない。

さらにいえば、次々と政権が交代することで、自身の影響力はさらに強まるであろうことも容易に想像できる。

いわば、古株のお局さんのいる職場の上司が毎年変わるようなものだ。

日本の政治システムは、政策(What)という、最も本質的、かつ重要なことよりも、政策を実行に移す運用面(How)で問題を抱えているようだ。

運用側の思惑が優先され、常にスポットライトがあたり、矢面に立つのは政治家だから、本質的な課題もなかなか明らかにされない。

そういったなか、一国民として思うのは、どこのネタなのかわからないマスコミの報道に一喜一憂せず、冷静に成果となる政策を見極めて、選挙でその成果への評価を反映させることが重要なのだろう。

逆風が強まる鳩山政権ではあるが、未だ政治的な成果を生みだしたとは言い難い。

政治的成果を生みだすプロセスで世論として意見を反映させることも重要であるが、一度、選んだ政権なのだから、政治的成果が出るのを見届けるのも重要である。

一連のプロセスで政治家は襟を正さねばならないが、我々国民も運用面の課題を意識しつつ、政治と向き合うことが重要であろう。

みなさんは、どう思われるだろうか?

ご批判も含め、ご意見をいただければ幸いである。

K

2009年10月25日日曜日

今、民主党政権に必要なもの

私は、民主党政権になってから、ちょっと気にかけていたことがあった。

前にブログでも触れたのだが、鳩山政権が予算決めをどうするのかにとても興味があった。

私の読みでは、今年度は福祉でも公共工事でも予算をバラまいてとにかく景気回復を早める一方で、来年度の予算で民主党の色を強く打ち出すものと考えていた。

来年度予算について大ざっぱにいえば、今年度のバラまきで生じる「貯金」も利用しつつ、緊縮型にして短期的な景気回復を犠牲にして国の借金を減らす方向を目指すか、または、景気浮揚を目指して大幅に支出を増やすか(→歳入の増加が見込めない現状では、後者は国の借金を増やすことに他ならない)の2つの選択肢があると思うが、どちらを選択するかで民主党政権の方向性が理解できると思っていたのだ。

ここ最近のニュースで、来年度予算の概要がメディアを通じて伝わってきたので、自分の読みに対して、現実的にどうなっているのか検証してみた。

BGT

結論から言うと、現段階では、私の予測は最初から見込み違いであったようだ。

というのも、そもそも今年度の補正予算からして緊縮型でバラまきではないのである。

自民党政権が決めた補正予算を、結果的に3兆円減らすことを決めた。

国土交通省の並々ならぬ予算削減作業が報道されたのは記憶に新しいと思う。

これにより、今年度補正予算は10.8兆円になり、当初の規模から2割以上カットされた。

そして、来年度予算だが、今年度の補正予算を除いた当初予算は各省の要求を積み上げると95兆円規模になり、今年度予算を組んだ自民党政権より6.5兆円も多くなる。

数字だけみると、歳出増加による景気浮揚を目指すように思えるが、行政刷新担当相の仙石さんが92兆円、財務相の藤井さんは90兆円まで減らしたいと言っており、その言葉から、少なくとも両氏は来年度の予算編成については、借金を減らす緊縮型財政を目指していると伺える。

ここから見出せるのは、基本的に民主党の政策は景気の先行きとそれに伴う雇用創出にプライオリティは置かず、借金を減らす予算緊縮を目指しているものの、マニュフェストで掲げた子ども手当(10年度 2.3兆円)などの福祉政策の実現を目指す結果、予算規模は増大し、借金も増えてしまうという構図である。

よって、よく言われる、施策実施に向けた財源の確保と景気の二番底への配慮が見えない。

環境問題と高速道路無料化への対応が矛盾するという指摘がよく言われるが、ひとことでいうと全体としてチグハグなのだ。

同じ国債を切るなら、景気が落ち込み、失業率の高い今、すなわち、今年度の補正予算のほうが来年度予算より、社会的課題と景気浮揚の両面で効果的だろうと思う。

経済の側面から考えれば、そもそも職を得て消費が活発にならない限り、景気も良くならないので、企業の業績も上がらない、また、税金の面から捉えると、経済活動が活発にならない限り、所得税、消費税、法人税のいずれも増えないので、借金依存が長引く構図となる。

国債を打つなら今年度の補正でドン打つ、という真意は、こういうことで、早く手を打つほうがいいのだろうと思うし、(あまりこういうこうとは言いたくないが)世論も味方にしやすいだろうから、来年の参議院選にもいい影響が出るはずなのだ。

先週、管直人副総理・国家戦略担当相が「予算の在り方に関する検討会」を開催、有識者を集めた結果、「中長期的な財政規律の在り方」を明確にしたうえで、3年間という中期スパンで歳入見込みと歳出削減を一体で示す、複数年度予算の導入が検討されたが、結果的に23日の閣議決定における予算改革の方針からはこのプランも先送りされたそうだ。

このエピソードから、予算編成の見通しを現時点では明確にしたくないという政権の意思表示とも受け取れるし、そこまでのコンセンサスが民主党内、そして、連立を組んだほか2党との間でとられていない証左であるかもしれない。

この予算編成について、極めて単純に、かつ、厳しい言い方をすれば、実入りを増やすことも考えないで、受け取るお金以上のお金を使うことばかりを考えているようなものだ。

ここで予算面でも社会政策面でも非常に存在感を示す省庁がある。

メディアは、八ツ場ダムやJAL、高速道路無料化などで国土交通省にスポットをあてるが、実は、その存在感は厚生労働省の比ではない。

何しろ、概算要求額の4割近くの予算(これはほぼ来年度の税収に匹敵する額です)を提示し、子ども手当も管轄しつつ、年金問題への取り組みや新型インフルエンザの対応も迫られる。

高齢化社会を迎えたことで構造的に重責を担わざるを得ないのだが、民主党政権になったことで、さらにそのプレゼンスが増したといえよう。

ミスター年金こと長妻大臣の手綱さばきに期待したいところだが、一方で早くも大臣間の予算折衝では「長妻包囲網」が始まっていると聞く。

そういった姿勢が厚労省から冷やかに受け止められると、今後の活動にも悪影響が出てくるだろう。

こういった一連の民主党政権の運営を見るにつけ、発足した当初の安倍政権の様子が思い起こされるのは私だけだろうか。

フレッシュな顔ぶれで小泉構造改革路線を引き継ぐと期待されたものの、結果的に自民党内部の守旧派に取り崩される一方、郵政民営化反対議員の自民党復党問題や閣僚人事で世論からも袋叩きにあい、禅譲を余儀なくされた。

やはり、政治においては、崩してはいけないことをしっかりと堅持しつつ、その実施のために、したたかに策を打つことも必要だろうと思う。

今、民主党に必要なのは、政策の軸が何でそれを何で支えるかという政策のプライオリティ付けなのかもしれない。

K

2009年9月27日日曜日

政治的リーダーシップと国民の責任

先週、鳩山総理の動向が何かと注目された。

国連での二酸化炭素排出削減目標の提言と非核三原則堅持の明言、米・ロ・中といった各国首脳との会談など、なかなかの振る舞いだったと思う。

気の早いメディアや評論家からはそれらの実現性を問う声が聞かれたが、私は具体的な内容如何よりも日本が目指す方向性の一端が諸外国に向けて明示できたことが素晴らしいと思う。

そもそもそういった方向性がない限り、MovementやTrendは生まれない。

政府内で提示した方針達成に向けた裏付けが何もないとは思わないが、一方で、それらを実現するために何をどうすべきかの政策決定については、広く人々を巻き込み、一定のconsensusを持って、実行していくのだろうと予想する。

例えば、二酸化炭素削減目標に対して厳しい意見を寄せる産業界について、このところ、いわゆる「抵抗勢力」的な報じられ方をされているように感じるが、私は産業界の受け止め方を一元的に捉えるのはいかがかと思う。

ややストレートないい方だが、産業界は自社の利益に適うことには素直だから、声高に反対表明をする業界・会社がある一方で、待ってましたとばかりに今回の政府指針を好機ととらえ、積極的に取り組む企業も出ていくるだろう。

往々にして、これまで「大企業」と捉えられてきた企業が守旧派に回るであろうことは、経団連会長を務める御手洗氏の発言からもうかがい知れるが、例えば、御手洗氏の会社のような製造業にしても、このイニシアティブをチャンスと捉える企業もあるだろう。

風力発電、原子力発電、スマートグリッド、電気自動車などなど、今回のイニシアティブに関わりそうな分野に、日本のなかで少なくと1、2社くらい思いつく会社があるはずだ。

ややもすると発言が厳しくなりがちな産業界ですらそうだから、日本のリーダーたる鳩山首相が提示する指針の実現に向けて、政界・官界・実業界に渡って、新しいWork Groupが形成されていく期待を持てる。

今度の総理交代によって、政府の方向転換が顕在化した具体例として、国土交通省管轄下の事業がある。

八ツ場ダムや日本航空再建問題がその典型だが、これら課題への対応も矢継ぎ早で、ニュースを見ているほうがスリリングな印象さえもってしまうほどだ。

そのひとつである八ツ場ダムについては、そこに住む住民だけの問題と捉えるべきではないだろう。

今は緊縮予算のなかで、福祉・社会保障分野では実現すべき課題も多いから、ある均衡のなかで予算をやりくりしなければならない。

そういった観点から、今回の八ツ場ダム建設中止で削減された税金が、例えば、子供手当に充当されるとしたら、皆さん、どう思うだろうか?

それでも八ツ場ダム建設続行に反対? 賛成??

地域住民の方には大変申し訳なく思うが、情緒に流されず、日本全体の最適化のために下す決断が、政治的判断ではないだろうか。

日本航空問題にしてもそう。

これまでの政官癒着や労使問題の影響もあり、何度再建計画を打ち立てても立ち上がらず、しまいには、デルタやアメリカン航空との交渉を行いながら公的支援を仰ぐ状況まで追い込まれた。

それに対する前原大臣の対処は明確で、早速、旧産業再生機構OBを集めた、特別チーム「JAL再生タスクフォース」を設置して対応に当たることにした。

これまでのしがらみに拘束されたら、できない対応であるし、だからこそ、文字通り政治的決断が必要とされる根の深い課題なのだろう。

しかも、国民の血税を無駄にしない、という政治的意思の表れと捉えれば、もろ手を挙げて国交省の対応を支援すべきではないだろうか。

一説によれば、今回のタスクフォース結成は、アメリカのGM再建をモデルにしていると言われているが、類似した対応を行うとして現在のGMの状況から想像するに悪くないアプローチといえるのではないか。

今朝のサンデープロジェクトでの前原大臣のインタビューの内容は、冷静かつ論理的である一方で、八ツ場ダムについては住民への配慮を見せるなど、これまでの自民党議員には感じられなかった、ある種の清々しさを感じさせた。


これら一連の動きから、政治的リーダーシップとはこういうことなんだろうと思う。

その時々の優先課題に対して、国全体の利益のために、取り組むべき方向性を明確にして、それに必要なリソースを投入する。

だから、実現性の可否を問う前に、我々、一人ひとりの国民にとって、何が利益だと判断し、その政策に支援するのか、しないのかの立場を明確にすることのほうが大事なのだろうと思う。

それが、8月の衆議院選の結果に対する国民の責任だと考えるが、いかがだろうか。


それにしても、鳩山政権の滑り出しを見る限り、変化を予感させるに十分なものがある。

K

2009年9月1日火曜日

今回の選挙結果に想うこと~富の再分配システムへのニーズ

先の衆院議員選挙は、大方の予想通り、民主党の地滑り的な大勝利に終わった。

4年前の自民党の大勝と全く逆の展開となり、オセロ・ゲームの白黒の駒がまるまるひっくり返ったような印象だ。

この民主党の大勝について、いろんな方がいろんなコメントをしているが、私は、ここ何年かの「小さな政府・タカ派」から「大きな政府・ハト派」へと大きな方向修正が図られた、と見るのが妥当であろうと考えている。

池田勇人、佐藤栄作、田中角栄らが確立した自民党の保守本流は典型的な「大きな政府・ハト派」であり、その流れを汲む民主党・小沢氏がこの路線を引き継ぐ一方、小泉前総理の構造改革路線を修正しきれない自民党は「小さな政府・タカ派」政党と受け取られて、国民にそっぽを向かれたということではないか。

小泉政権は、派閥政治の解消を通じ、自民党が良くも悪くも時間を掛けて築いてきた「富の再分配」を破壊してしまった。

前回の衆議院選挙はそれが有権者に好意的に受け止められたため、大勝したのだが、今回は昨年からの金融危機も手伝い、「富の再分配」システムがなくなることを国民はリスクと受け止めた。

そのために、派閥の領袖や閣僚経験者であるほど、有権者の受けは悪く、結果的に落選の憂き目にあうこととなった。

そして、以前だったら、完全な保守基盤(=自民党基盤)である都道府県は、ことごとく民主党に議席を奪われた。


少しつっこんで考えたい。

2000年になった頃、これまでの再分配システムが受益者よりも供給者が優先されて既得権益の温床となったことで、機能不全のシステムを解体すべく、構造改革・規制緩和といったマーケット・オリエンテッドな手法が支持され(=「新自由主義」と呼ばれる)、小泉政権を誕生させるきっかけになった。

ところが、そのパフォーマンスが低下していたとはいえ、多少なりとも機能していた再分配システムは、構造改革の旗印の下、その機能を完全に失ってしまう。

雇用面では、国内の雇用維持と労働者への柔軟な労働環境を提供することを名目として、製造業の派遣労働が解禁となった。

また、「ハコモノ」行政による、地方の建設業界への予算還流もなくなるとともに、「三位一体」の地方制度改革の下での地方交付金も事実上、削減される。

郵政民営化にしても業務拡大よりも業務効率化が目的だから、再分配機能は働きづらい。


民主党のマニュフェストからは、多少の不公平感も感じなくもないが、手段を変えて、国民一人ひとりに、直接、富が分配されるシステムを確立しようとしている。

再分配を渇望する国民には、魅力的な内容と映っているはずだ。

民主党政権は、様々な予算の無駄を排除するのはもちろん、場合によっては、国債も発行して、次の参議院選挙くらいまで、とにかく「バラマキ」を実施するだろう。

それによって、来年の参議院選挙の単独過半数獲得を狙うはず。

もし、参議院まで民主党に単独過半数を握られれば、自民党は党としての存在意義を失うかもしれない。

そうなれば、2大政党制なる大義名分は機能しなくなるが、そうなったらなったで政界再編などによって政治の世界は体裁を保つと思うのでそこはシリアスな問題にならないかもしれないが、問題は我々の生活のほうである。

再三、ここで述べているが、私は少子化対策よりも世代間雇用格差のほうがより喫緊の課題だと認識しているが、その課題にどう切り込むか、また、既に海外では議論されている、景気刺激策の「出口戦略」をどう取り組むか、そして、一連の対策により、膨らむ国の借金にどう取り組むのか、中期的な対処策が求められるに違いない。

繰り返すが、今回の圧勝により、民主党はこの1年くらいは、彼らのマニュフェストの実現に傾注し、本格的な「バラマキ」政治を実行するだろう。

以前のBlogでも述べたが、しばらく雇用環境は良くならないだろうから、その「バラマキ」政策が厳しい環境にうまくミートすれば、国民からは絶大な信頼を獲得するに違いない。

でも、問題は1年後に民主党がどういう施策に取り組むか、具体的には平成23年予算(平成22年補正予算も?)をどう編成するかでその手腕が問われることになるだろう。

諸外国、特にアジアとの関係強化を図りながら、国内で、環境、農業、エネルギー、社会的起業など、自立回復を果たす、国家戦略を確立できれば、その基盤はゆるぎないものになるに違いない。


K

2009年8月30日日曜日

総選挙後の日本社会 ~私の望むこと~

今朝、投票に行ってきた。

普段、投票所の周辺は日曜日といえども、それほど人通りを感じないのだが、今朝は様子が違った。

帰りに寄ったスーパーも、日曜日の朝にも関わらず、大変な人の入りようだった。

これも選挙の影響か?

2005年の総選挙とは違う意味での今回の選挙は盛り上がりを実感する。

マスコミ各社は、民主党の大勝を報じ、自民党は100議席もとれないのでは、という報道まで出る始末。

そういう形勢逆転が予測される環境で投じる一票に、少なからず、政治的参画への意義を感じるのは私だけではないだろう。


民主党が政権を取った後の社会はどうなるのか。

予測されるのは、子育て支援、最低保障年金の実現、農業の個別所得補償、高速道路の無料化などの政策を推し進めるために起こる、「高負担」社会の到来だろう。

だが、民主党はこれらの政策は、消費税率を上げず、税金のムダづかいを排除することで実現するという。

よく指摘される「民主党政策の財源の不明確さ」はそのギャップから生じるのだが、民主党としては、あくまで、家計の可処分所得を増加させることを目的にするという。

各々の立場によってこれらの政策によって得られる効用は異なるように思えるのだが、仮に民主党が政権をとった場合、個人的にどうメリットを享受できるか、大いに注目したい。

また、経済については、環境対策、中小企業の税率の引き下げが具体的に掲げられているが、焦点はどちらかといえば内需型経済の推進になるだろう。

額面通り受け取れば、小泉政権以降、続けてきた経済政策からは大きな政策転換となるわけだが、今後の日本経済にどう影響を及ぼすのか、こちらも注目されるところだ。

以前のBlogでも述べたが、農業・環境は、ある種、インフラ事業なので、大手企業の参入ばかりが図られ、結局、生活者の利便性が損われたり、新規参入の可能性が少なくなるようでは、その効果も限定されてしまうだろう。


私は、環境や農業も改善してほしいのはやまやまだが、それに加えて、公共政策の推進がそのまま高負担にならない社会、言い換えると、自治体や公共団体が担っている役割を、社会的起業家がその役割を担える社会が実現されることを望む。

20代の若者の間で、こういった分野に関心を持つ人が多くなっているのは、大変、頼もしく、より多くの若い世代に、社会的起業を行ってもらいたいと思う。

もちろん、彼らは資金や経験が少なく、失敗に終わることも多いだろう。

その点、海外にあるようなNPOやNGOの活動を支援する組織・団体の設立し、仕組みとして支援する体制を整えたり、事業が失敗した際の保障を充実させたり、といったことを同時に準備する必要がある。

高齢化社会を迎える日本は、今後、社会保障費がうなぎ登りで、国の予算配分もそちらに比重を置かざるを得なくなるだろう。

それだって、いままでの前提で考えるからそうなのであって、より柔軟性があり、気力や体力も充実している世代がその役割を担えれば、ある種、社会的な事業として取り組むことで、予算も少なくて済むかもしれないし、社会に役立ちたいという希望にもこたえられるかもしれない。

また、そこで行った社会的事業の取り組みが同様の社会構造をもつ国々(中国もあと10年もすれば同じような課題に直面するはず)にも役立つかもしれず、国際的な活動機会も生まれるだろう。

新たな「ジャパン・モデル」の誕生である。


総選挙後の日本社会は、そのようなダイナミズムが生まれるだろうか?

少なくともそうした期待だけは失わず、引き続き、このBlogで触れていきたいと思う。

K

2009年8月24日月曜日

Post Electionの日本の政治をどう評価するか?

今、私の手元に2つの政党のマニュフェストがある。

今度の衆院選で与党になると予測されている某野党と、議席数は少ないが、生活者視点の政治の重要性を訴える、これまた、別な野党のものだ。

この週末、歩いていて何気なく、受け取ったものだ。

偶然かもしれないが、選挙一週間まえにもかかわらず、自民党のマニュフェストを受け取ることはできなかった。

これも勢いの差かなと思う。

手元のマニュフェストによれば、民主党が掲げる主な政策目標は、税金のムダづかいの根絶、子育て支援、年金通帳の発行、「地域主権」の確立、中小企業への税率減少、などとなっている。

今回の選挙結果について、様々な予測が出ているが、民主党の勝利が大勢の見方のようだ。

時事通信社は、民主党が480議席中300議席以上を獲得するだろうと報じている。

もし、そこまで圧勝すると、他党との連立を組むことなく、議会運営ができるようになる。

国民の本音としては、とりあえず、今の自民党政権に確信が持てない、はたまた、ポスト小泉政権の運営にほとほと嫌気がさした、などいろいろ理由はあろうが、一度、与党を変えてやれ、ということなのだろう。

大きな期待は持てなくとも、自民党政権の下で、スポットが当たらなかった部分が明るみに出るかもしれないという期待感もあるだろう。

既にいくつかのメディアでは専門家の意見として、ポスト・エレクションについて状況が述べられている。

慶應大学の竹中平蔵教授は、政権政党が自民党になっても、民主党になっても、各党の政策実施の際に、税負担が重くなることを懸念しており、特に法人税の税率を上げるようなことになれば、企業は一斉に日本から逃げていく、と警告を発している。

また、日興シティグループ証券 藤田氏は、民主党が衆院選で単独過半数を獲得した結果、環境技術の育成や人口動態の改善、個人消費の拡大により、株価が上昇するとしている。

加えて、今回の政権交代は、「小さな政府、タカ派」(旧田中派、経世会)から「大きな政府、ハト派」(旧福田派)に振り子が振れようとしている、と論じている。

状況を大局的に見る見たてとしてわかりやすい例えであり、田中真紀子氏が、民主党へ鞍替えするのは、象徴的な出来事であった。

いずれにしても、今回の選挙で仮に民主党が大勝すれば大きな方向転換となるが、その成果が1年前後のインターバルをおいて国民の審判に問われることになる。

お気づきの方もいらっしゃるかもしれないが、来年の夏に参議院選挙がある。

この1年間の政権運営で支持を得られなければ、参議院選でシビアな結果になるだろう。

よって、今回の衆議院の任期は4年といいつつも、新しい与党は、それほど、悠長に構えているわけにはいかない。

すぐにでも、成果を出さなければならない。

自民党のマニュフェストに若者の職業教育の強化、年長フリーターを重点とした正規雇用化支援といった内容はあるが、民主党のマニュフェストと合わせて見ても、私のBlogで何度か唱えてきた、世代間格差は根本的に解消されそうもない。

少子化対策も大事だし、年金も国民の信用が関わるのでフォローアップは必要、これらは最低限やらなければならない課題であることは確かである。

ただし、今後の4年間を見据えた政治的・経済的な政策のプライオリティーとして、現在の20~30代の雇用、別な言い方をすれば、この世代の社会的参画のあり方を本格的に取り組むべきではないかと思う。

これは製造業派遣対策に限らない。

より大きな意味で、多少時間を掛けても、大きな社会的変革を促し、若者世代の仕事への関わり、自己実現への手段の提示、社会参加の機会を提起していく必要があると思う。

これは産業界だけの取り組むだけでは不十分で、政治的リーダーシップがないと出来にくいことであり、その意味で、より本腰を入れて取り組んでいただきたい。

ここ数年で、中国、マレーシア、トルコ、オーストラリアなど旅行で訪れたが、若者が元気な国は勢いを感じる。

私はこの世代間格差の解消を本気で取り組めるか否かを、Post Electionの政治を評価するうえで、ひとつの軸に据えたいと考えている。

K