2009年10月25日日曜日

今、民主党政権に必要なもの

私は、民主党政権になってから、ちょっと気にかけていたことがあった。

前にブログでも触れたのだが、鳩山政権が予算決めをどうするのかにとても興味があった。

私の読みでは、今年度は福祉でも公共工事でも予算をバラまいてとにかく景気回復を早める一方で、来年度の予算で民主党の色を強く打ち出すものと考えていた。

来年度予算について大ざっぱにいえば、今年度のバラまきで生じる「貯金」も利用しつつ、緊縮型にして短期的な景気回復を犠牲にして国の借金を減らす方向を目指すか、または、景気浮揚を目指して大幅に支出を増やすか(→歳入の増加が見込めない現状では、後者は国の借金を増やすことに他ならない)の2つの選択肢があると思うが、どちらを選択するかで民主党政権の方向性が理解できると思っていたのだ。

ここ最近のニュースで、来年度予算の概要がメディアを通じて伝わってきたので、自分の読みに対して、現実的にどうなっているのか検証してみた。

BGT

結論から言うと、現段階では、私の予測は最初から見込み違いであったようだ。

というのも、そもそも今年度の補正予算からして緊縮型でバラまきではないのである。

自民党政権が決めた補正予算を、結果的に3兆円減らすことを決めた。

国土交通省の並々ならぬ予算削減作業が報道されたのは記憶に新しいと思う。

これにより、今年度補正予算は10.8兆円になり、当初の規模から2割以上カットされた。

そして、来年度予算だが、今年度の補正予算を除いた当初予算は各省の要求を積み上げると95兆円規模になり、今年度予算を組んだ自民党政権より6.5兆円も多くなる。

数字だけみると、歳出増加による景気浮揚を目指すように思えるが、行政刷新担当相の仙石さんが92兆円、財務相の藤井さんは90兆円まで減らしたいと言っており、その言葉から、少なくとも両氏は来年度の予算編成については、借金を減らす緊縮型財政を目指していると伺える。

ここから見出せるのは、基本的に民主党の政策は景気の先行きとそれに伴う雇用創出にプライオリティは置かず、借金を減らす予算緊縮を目指しているものの、マニュフェストで掲げた子ども手当(10年度 2.3兆円)などの福祉政策の実現を目指す結果、予算規模は増大し、借金も増えてしまうという構図である。

よって、よく言われる、施策実施に向けた財源の確保と景気の二番底への配慮が見えない。

環境問題と高速道路無料化への対応が矛盾するという指摘がよく言われるが、ひとことでいうと全体としてチグハグなのだ。

同じ国債を切るなら、景気が落ち込み、失業率の高い今、すなわち、今年度の補正予算のほうが来年度予算より、社会的課題と景気浮揚の両面で効果的だろうと思う。

経済の側面から考えれば、そもそも職を得て消費が活発にならない限り、景気も良くならないので、企業の業績も上がらない、また、税金の面から捉えると、経済活動が活発にならない限り、所得税、消費税、法人税のいずれも増えないので、借金依存が長引く構図となる。

国債を打つなら今年度の補正でドン打つ、という真意は、こういうことで、早く手を打つほうがいいのだろうと思うし、(あまりこういうこうとは言いたくないが)世論も味方にしやすいだろうから、来年の参議院選にもいい影響が出るはずなのだ。

先週、管直人副総理・国家戦略担当相が「予算の在り方に関する検討会」を開催、有識者を集めた結果、「中長期的な財政規律の在り方」を明確にしたうえで、3年間という中期スパンで歳入見込みと歳出削減を一体で示す、複数年度予算の導入が検討されたが、結果的に23日の閣議決定における予算改革の方針からはこのプランも先送りされたそうだ。

このエピソードから、予算編成の見通しを現時点では明確にしたくないという政権の意思表示とも受け取れるし、そこまでのコンセンサスが民主党内、そして、連立を組んだほか2党との間でとられていない証左であるかもしれない。

この予算編成について、極めて単純に、かつ、厳しい言い方をすれば、実入りを増やすことも考えないで、受け取るお金以上のお金を使うことばかりを考えているようなものだ。

ここで予算面でも社会政策面でも非常に存在感を示す省庁がある。

メディアは、八ツ場ダムやJAL、高速道路無料化などで国土交通省にスポットをあてるが、実は、その存在感は厚生労働省の比ではない。

何しろ、概算要求額の4割近くの予算(これはほぼ来年度の税収に匹敵する額です)を提示し、子ども手当も管轄しつつ、年金問題への取り組みや新型インフルエンザの対応も迫られる。

高齢化社会を迎えたことで構造的に重責を担わざるを得ないのだが、民主党政権になったことで、さらにそのプレゼンスが増したといえよう。

ミスター年金こと長妻大臣の手綱さばきに期待したいところだが、一方で早くも大臣間の予算折衝では「長妻包囲網」が始まっていると聞く。

そういった姿勢が厚労省から冷やかに受け止められると、今後の活動にも悪影響が出てくるだろう。

こういった一連の民主党政権の運営を見るにつけ、発足した当初の安倍政権の様子が思い起こされるのは私だけだろうか。

フレッシュな顔ぶれで小泉構造改革路線を引き継ぐと期待されたものの、結果的に自民党内部の守旧派に取り崩される一方、郵政民営化反対議員の自民党復党問題や閣僚人事で世論からも袋叩きにあい、禅譲を余儀なくされた。

やはり、政治においては、崩してはいけないことをしっかりと堅持しつつ、その実施のために、したたかに策を打つことも必要だろうと思う。

今、民主党に必要なのは、政策の軸が何でそれを何で支えるかという政策のプライオリティ付けなのかもしれない。

K

2009年10月17日土曜日

社会貢献活動とシニア層の存在感

まだ、私が経営学の勉強をしていた頃、気になる女性Jazzミュージシャンがいた。

それはヴァイオリン奏者の寺井尚子さんで、演奏の実力もさることながら、ルックスの良さに加え、情熱的な演奏はこれまでにないもので、当時、私が読んだ新聞記事は、今までにない新しいジャンルを切り拓く期待の新星、と紹介していたように記憶している。

勉強を終え、会社勤めに復活したら、いつかコンサートに行こうと思いながら、この数年、なかなかそれが実現しなかったのだが、今週、その機会が突如、訪れた。

先週のJazzイベントのさなか、会場のポスターで近くのホールでコンサートが催されるのを知ったわけだが、平日開催だったために行けないことも考えられ、あまり意識しないように過ごしてきた。

だが、コンサート当日となる昨日金曜日、仕事が早く切り上げられそう期待がもてた時点で、早速、空き状況を確認するため、電話をしてみた。

「はい、いのちの電話 事務局でございます」

ん?

この一週間というもの、仕事のことを気にしつつ、チケットが手に入るか否かは私にとって相当な懸案事項だったが、いのちに関わるほど深刻ではない。

間違い電話??

「あの~、本日の寺井尚子のコンサートのことでお電話したのですが・・・」

「ご連絡、ありがとうございます。このお電話で承ります」

あれっ?この電話でよかった??

手元の資料を見てわかったのだが、今回のコンサートは、いのちの電話が企画したコンサートだったのだ。

電話で当日券に余裕があることを確認し、早々に仕事を切り上げて会場に向かったわけだが、会場に着いてさらに驚いた。

先週の市を上げてのJazzイベントや日頃出掛けるJazzバーとは明らかに異なるシニアの方々で、会場がごった返していたからである。

会場のホールは、おじさま、おばさま方でほぼ満員、入口の付近で催されていたバザーにもシニアの方々がたくさんいらっしゃった。

おそらく、寺井さんのコンサートを通じて、いのちの電話の活動を広く知っていただくとともに、同時に催されるバザーや寄付などで活動資金を集めるのが目的なのだろう。

まさしく寺井尚子さんにつられてきた私のような新参者は格好のターゲットだったわけだが、来場者の多くはいのちの電話の活動を支援している方と思われ、会場ではその熱気に押されるようだった。

寺井さんのライブは予想に違わず、素晴らしく、そのヴァイオリンの音色にすっかり魅了されてしまったが、純粋な音楽好きが集う会場とは、また、違う雰囲気に触れて、こういう社会的な支援の仕方もあるんだなと実感した次第である。

家に帰って調べたところ、いのちの電話のボランティアスタッフも高齢化が進み、これまで続けてきた24時間対応ができない地域もでてきたようなので、今回のような活動によって、少しでも、いのちの電話に助けを求める人たちや運営側に回っているスタッフへの理解が高まり、社会的に後押しできる機運が拡がればいいと思う。

それにしても、その主役の一端を担っているのが、その会場にいらっしゃったシニアの方々かと思うと、「世代間格差」などと軽はずみに、シニアの方々に対してやや刺激の強い主張をしてきた自分が恥ずかしくなってしまった。

一方で、私も含め、もっと若い世代が後押ししてもいいんだろうとも思う。

前回紹介した、Virgin GroupのRichard Branson氏の本(
僕たちに不可能はない)によれば、Virgin Groupはチャリティー活動として、いのちの電話と同じような活動をVirgin Uniteというプログラムで行っているとのこと。

しかも、この取り組みはVirginが大きくなってから始めたものではなく、Virginの初期の事業のひとつである、「Student」という雑誌を発行していたときから行ってきたものだという。

社会貢献活動において先駆けた取り組みの多いイギリスならではの話だと思うが(いのちの電話ももともとはイギリスの活動にヒントを得たものとのこと)、近年、うつ病を発症する方や自殺者が増加している日本でも、もっと社会的なインパクトを持てるように、活動に厚みが出てくることを期待する。

個々人の活動に対する支援の気持ちが重要なのは疑いようもないが、今回のような著名なアーティストやVirginのような世界的な企業の協力を仰ぐような、広報的なアプローチも必要だろうと思う。

これはマーケティング活動と同じような考え方だと思うのだが、認知もなく、関心も持たれないことにサポーターの協力は得られない。

そう思うと、対象がなんであれ、自分の得意な分野で社会に役立つことができるのではないか思えるわけである。

楽器がまともに演奏できない自分には音楽で社会貢献はできないだろうが、自分の好きなことや強みと思えることで何か役立つことができるかもしれない。

そういう想いに至ったことで、今回のコンサートはいいきっかけを与えてくれたと思うと同時に、自分に何ができるのか真摯に考えなければならないという想いが強くなった次第である。


K



P.S.

本当は、今日、参加したイベントで実感した、シニアの方々によるもうひとつの社会貢献活動を紹介したかったのだが、やや長くなったので、また、機会があったら、紹介したいと思う。

2009年10月11日日曜日

経済発展と環境にやさしい社会の実現 ~『Gaia Capitalism』

私の住むこの街では、昨日と本日、年に一度の大イベントが開かれ、大いに賑わっている。

「Jazz Promenada2009」と題される、そのイベントは、日本からはもちろん、海外からもJazzミュージシャンが集い、それこそ、一日中、市内の各ホール・イベント会場で何かしらJazzの演奏が楽しめる。

ここ最近、Jazzライブに足しげく通う私にとって、(今の若い人の表現を借りれば)「やばい」イベントなのである。

昨日は、今月から始めたヨガのレッスンで精神と肉体を「清めた」後、その足で会場に向かい、ほぼ半日、いろんな場所でそれこそJazzで「お腹がいっぱい」になるような気分が味わえた。

ヴィブラフォンとピアノのデュオから始まり、ブラジル出身のアーティトが奏でるサンバのリズム、アメリカからの参加したピアニストがリードする伝統派Jazz、そして、日本のJazzの重鎮が集ったオールスターセッションなどを満喫、本当に素晴らしい演奏ばかりだった。

なかでも、最後のセッションのSaxの音色はとても「艶やか」に感じ、会場を出るころはうっとりしてしまった。

やはり、たまにはこういう右脳の刺激は貴重である。


さて、本日の本題。

昨今の「ホットな」課題の一つに環境問題がある。

鳩山総理の国連の演説で、温暖化ガスを2020年までに1990年比で25%削減する中期目標を表明したのは記憶に新しい。

読売新聞によれば、国民の7割以上がこの表明に賛成の意向を示したというが、これに対し、産業界の反応はやや冷やかだ。

いまのところ、7日に経済同友会が賛同の意を表明した以外、反対と慎重な姿勢を表明するほうが多い。

こちらの以前のBlogでもお伝えしたが、この課題について話す経団連の御手洗会長の表情はとても堅く、バブル後に日本経済をけん引してきた会社のトップとは思えないほどだ。

この背後には、温暖化ガス削減の取り組みが企業に大きな負担がある。

特に日本は輸出主導の製造業がけん引する産業構造なので、工場などで排出される温暖化ガスの取り扱いは、極めてSensitiveな課題と言わざるを得ない。

しかし、だからこそ、前向きに取り組む価値があるという見方もあるはずで、その辺は先の経済同友会の会長 桜井氏が会長を務めるリコーや、2日の会見でハイブリッド車の供給などを通じて積極的に温暖化ガス削減に取り組むことを表明したトヨタ自動車などの姿勢をみると、明るい材料もあるのも確かだ。

確かに、当初、企業側は大きな負担を強いられるのだろうが、その取り組みは最終的には環境意識の高い消費者から支持されるはずだ。

また、CSRの観点で投資先を選別する投資ファンドもこれまでになく、増えてきているので、投資家からの支持もほぼ間違いないだろう。

だから、もっと地球温暖化に積極的に賛同の意を示す企業、及び経営者が出しきて欲しいと強く思っているのだが、世界には既にトップ自らが旗を振って積極的に取り組んでいる会社もある。

メディアや航空会社、鉄道など参加に幅広い事業を持つ、Virgin Groupはひとつのベンチマークになるだろう。

今、そのVirginを率いるトップ Richard Branson氏の著書「
僕たちに不可能はない」を読んでいるが、その本では、Branson氏が提唱している『Gaia Capitalism』というコンセプトが紹介されている。

一言でいえば、自社の事業の発展と環境問題を両立させようというコンセプトなのだが、2006年にAl Gore氏のプレゼンで環境問題に「目覚めた」Branson氏が、自社グループで何ができるか検討を重ねて打ち出したひとつの方向性である。

本のなかでは、Branson氏は以下のように述べている。

「この名前(=Gaia Capitalism)の下にベンチャー・キャピタル的ビジネス手法によって、今後10年間、Virginが正々堂々お金を稼ぎながら世の中に本当の変化をもたらすと信じている」

航空事業などを傘下に収めるVirginにとっても、少なからず、負担を強いられる課題であるはずなのだが、Branson氏の想いは相当なものだ。

なんでも、2004年から2006年の間にVirginが支払う航空燃料は5億ドル(当時のレートで約520億円)も上昇していたそうで、そういったコスト要因の解決という意味合いもあるようだ。

例えば、航空滑走路において一部飛行機を特殊車両でけん引することで燃料代を削減する案や代替エネルギーの研究なども提唱している。

結果的に具体策としては、温暖化問題の解決につながるアイディアに賞金を出すような、先にコメントにもあるベンチャー・ファンドの創設に結びついた。

様々な具体策のひとつひとつについての是非はあるだろうが、最も大事なことは、企業が、特にそのトップ自らが環境問題の重要性を理解し、Sustainableな社会の実現に向けて取り組むことである。

引退を目前に、花道を飾りたいトップでは無理かなぁとは思いつつも、先のBranson氏も来年は還暦を迎える(イギリスにはそういう考え方はない?)。

その氏がここまで情熱を燃やすのだから、年齢は関係ないはずだ。

要は、課題に取り組む意思(Intent)と、状況変化に応じてプライオリティを置き換えられる柔軟さ(Flexibility)である。

早く産業界版「鳩山イニシアティブ」を打ち出す気概に満ちた日本の経営者が出てきてほしいものである。

K

2009年10月4日日曜日

会社の「年齢」とこれからの産業トレンド

未だ暑さを感じるものの、朝や晩は涼しくなり、季節の変わり目を感じる。

なお、昨日は中秋の名月とのことで、非常に綺麗な月が見られる夜だった。

そんななか、最近、週末は恒例になってきているJazzの鑑賞も、一風変わったところがいいと思い、昔の外国人邸宅の洋館で行われたコンサートに行ってきた。

その名も「酒と薔薇の日々 第一夜」。

会場となったベーリック・ホール(The Berrick Hall)という洋館は、以前のイギリス人貿易商 B.R.べリックの邸宅として建設されたもので、現在、横浜市認定歴史的建造物になっており、普段は、一般にも公開されている。

そのリビング・ルームでコンサートが開かれたのだが、まず、入口となっている門扉からの眺める、ライトアップされた建物自体が幻想的で、入った瞬間に日常を抜け出すような感覚になった。



また、そんな素敵な場所で奏でるJazzの演奏もたまらなく魅力的で、スタンダード曲に加え、「天城越え」、「青葉城恋歌」のJazzのアレンジ・バージョンや「月夜野」といったオリジナル曲まで、大変、素晴らしい演奏だった。

MNGというグループの演奏だったが、なんでも先月中旬で行った仙台のライブも、大変好評だったそうだが、それも十分うなずけるものだった。



また、途中の休憩時間でもてなされた軽食やワインもスタッフの方々の気遣いが感じられた。

素敵な講演だったので、次回の24日に行われる、「第2夜」も参加してみたいと思う。

お近くにお住まいの方がいらっしゃったら、参加されることをお勧めする。


さて、本題。

先週、日本とアメリカでの失業率が発表された。

日本の8月の失業率が5.5%、アメリカの9月の失業率は9.8%と、雇用環境の悪化を改めて感じさせるものだった。

一方、政府と各省庁の間では、今年度の補正予算の編成について調整が行われているが、各省庁間での予算削減のテーマは無駄な公共事業の削減であるため、今後、少なくとも半年間は、政府投資による企業業績への貢献は限定されたものになるだろう。

だから、企業は将来の業績不安から採用を手控え、深刻な場合は、社員をさらに解雇する可能性すらあり、そのため、賃金は上がらず、結果として、消費は上向かず、モノの値段も上がらない、という完全なデフレ状況に突入していると言える。

だが、こんななか、業績を上向かせている会社がある。

その代表例が「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングだ。

昨日の日経新聞によれば、9月の既存店の売上高は前年同月比31.6%とのことで、伊勢丹や松坂屋といった、マイナス成長だった百貨店業界を大きく引き離している。

さらに驚かされるのは、売上アップや来店客数のアップもさることながら、客単価が7.8%伸びているということだ。

低価格の衣料品を取り扱う業態であることを考えると、なおさらその凄さが際立つ。

そんなユニクロは、今月のパリの基幹店のオープンに加え、都心でも大型店を次々に出店する計画を発表している。

これら一連の業績好転は、今の世の中の景気の影響が後押ししているのは間違いないだろう。

昨年まで、百貨店で買い物をしていたが、今年はユニクロで、という方もいらっしゃるのではないか。
(現に私もその一人??)

実際に失業された方や、働いていらっしゃる方でも将来の失業不安や、給与ダウンという現実に直面すると、嫌が応にも財布のヒモは堅くなる。

そんな荒んだ消費マインドをやさしく微笑んで迎えてくれているのが、こういう企業なのだろう。


それでは、こういった企業の成長は一過性のものなのだろうか。

もちろん、確実なことはいえないが、私は、ファーストリテイリングのような企業は長期的成長トレンドを描きつつあると考えている。

先週、日経ヴェリタスという金融専門誌が「診断『会社の年齢』」という特集をおこなっていた。

これは企業の売上成長率や企業の収益率、株価などを使って算出した指標を、人間の年齢に置き換えたもので、ファーストリテイリングのようなSPA(製造小売り)業態が押し並べて、20代後半30代前半と診断されたのを見て、妙に納得してしまった。
(ちなみにファーストリテイリングは27.9才!)

ヤフーやカカクコムのようなネット企業は20代前半、自動車が40歳前後、電機が40代半ばから50代といったように、まさしく日本の産業の実態を端的に表しているようだ。

身近に接する各社の状況などを想像すると、なんとなく理解できる気がするのではないだろうか。

異なる側面から眺めると、さらに理解を深められる。

今、再建問題で揺れている日本航空や、海の向こうで一足先に再建に目星をつけたGMなどは、業績不振のみが再建の重石になったわけではない。

それらの会社は、いわゆる先輩社員達の年金などが負債として重くのしかかっていたのだ。

一方、「20代」企業は会社年齢も若いが、スタッフも若い。

年金などを心配するのはまだまだ先のことなので、そういった面からも事業リスクが少ない。

事業の歴史が浅いという決定的な理由もあるが、結局、企業が継続して成長するには、ある一定の新入社員の採用枠は維持して、常にスタッフの循環を行うことが必要という証左ともいえる。

単純に平均年齢を若く保つというためだけでなく、「新鮮な」事業を維持するという意味でも重要なのだろう。

こういったことが一過性にならず、「トレンドを作る」という見方につながっているのだが、日本では、静かに、でも、確実に産業転換が行われているのではないだろうか。


成長ばかりがいいことではないだろうが、若い世代が力を存分に発揮できるような、活力ある社会にはなって欲しいと想いに耽る、中秋の名月であった。

K

2009年9月27日日曜日

政治的リーダーシップと国民の責任

先週、鳩山総理の動向が何かと注目された。

国連での二酸化炭素排出削減目標の提言と非核三原則堅持の明言、米・ロ・中といった各国首脳との会談など、なかなかの振る舞いだったと思う。

気の早いメディアや評論家からはそれらの実現性を問う声が聞かれたが、私は具体的な内容如何よりも日本が目指す方向性の一端が諸外国に向けて明示できたことが素晴らしいと思う。

そもそもそういった方向性がない限り、MovementやTrendは生まれない。

政府内で提示した方針達成に向けた裏付けが何もないとは思わないが、一方で、それらを実現するために何をどうすべきかの政策決定については、広く人々を巻き込み、一定のconsensusを持って、実行していくのだろうと予想する。

例えば、二酸化炭素削減目標に対して厳しい意見を寄せる産業界について、このところ、いわゆる「抵抗勢力」的な報じられ方をされているように感じるが、私は産業界の受け止め方を一元的に捉えるのはいかがかと思う。

ややストレートないい方だが、産業界は自社の利益に適うことには素直だから、声高に反対表明をする業界・会社がある一方で、待ってましたとばかりに今回の政府指針を好機ととらえ、積極的に取り組む企業も出ていくるだろう。

往々にして、これまで「大企業」と捉えられてきた企業が守旧派に回るであろうことは、経団連会長を務める御手洗氏の発言からもうかがい知れるが、例えば、御手洗氏の会社のような製造業にしても、このイニシアティブをチャンスと捉える企業もあるだろう。

風力発電、原子力発電、スマートグリッド、電気自動車などなど、今回のイニシアティブに関わりそうな分野に、日本のなかで少なくと1、2社くらい思いつく会社があるはずだ。

ややもすると発言が厳しくなりがちな産業界ですらそうだから、日本のリーダーたる鳩山首相が提示する指針の実現に向けて、政界・官界・実業界に渡って、新しいWork Groupが形成されていく期待を持てる。

今度の総理交代によって、政府の方向転換が顕在化した具体例として、国土交通省管轄下の事業がある。

八ツ場ダムや日本航空再建問題がその典型だが、これら課題への対応も矢継ぎ早で、ニュースを見ているほうがスリリングな印象さえもってしまうほどだ。

そのひとつである八ツ場ダムについては、そこに住む住民だけの問題と捉えるべきではないだろう。

今は緊縮予算のなかで、福祉・社会保障分野では実現すべき課題も多いから、ある均衡のなかで予算をやりくりしなければならない。

そういった観点から、今回の八ツ場ダム建設中止で削減された税金が、例えば、子供手当に充当されるとしたら、皆さん、どう思うだろうか?

それでも八ツ場ダム建設続行に反対? 賛成??

地域住民の方には大変申し訳なく思うが、情緒に流されず、日本全体の最適化のために下す決断が、政治的判断ではないだろうか。

日本航空問題にしてもそう。

これまでの政官癒着や労使問題の影響もあり、何度再建計画を打ち立てても立ち上がらず、しまいには、デルタやアメリカン航空との交渉を行いながら公的支援を仰ぐ状況まで追い込まれた。

それに対する前原大臣の対処は明確で、早速、旧産業再生機構OBを集めた、特別チーム「JAL再生タスクフォース」を設置して対応に当たることにした。

これまでのしがらみに拘束されたら、できない対応であるし、だからこそ、文字通り政治的決断が必要とされる根の深い課題なのだろう。

しかも、国民の血税を無駄にしない、という政治的意思の表れと捉えれば、もろ手を挙げて国交省の対応を支援すべきではないだろうか。

一説によれば、今回のタスクフォース結成は、アメリカのGM再建をモデルにしていると言われているが、類似した対応を行うとして現在のGMの状況から想像するに悪くないアプローチといえるのではないか。

今朝のサンデープロジェクトでの前原大臣のインタビューの内容は、冷静かつ論理的である一方で、八ツ場ダムについては住民への配慮を見せるなど、これまでの自民党議員には感じられなかった、ある種の清々しさを感じさせた。


これら一連の動きから、政治的リーダーシップとはこういうことなんだろうと思う。

その時々の優先課題に対して、国全体の利益のために、取り組むべき方向性を明確にして、それに必要なリソースを投入する。

だから、実現性の可否を問う前に、我々、一人ひとりの国民にとって、何が利益だと判断し、その政策に支援するのか、しないのかの立場を明確にすることのほうが大事なのだろうと思う。

それが、8月の衆議院選の結果に対する国民の責任だと考えるが、いかがだろうか。


それにしても、鳩山政権の滑り出しを見る限り、変化を予感させるに十分なものがある。

K

2009年9月21日月曜日

エコタウンを目指す官民の取り組み

シルバーウィークと名付けられた秋の連休を、皆さん、どうお過ごしであろうか?

連休ももう半ばになるが、私の前半は、野球観戦三昧で終わった…

しかも、住んでいる地域の高校野球の準々決勝を連日に渡って2日連続で観戦。

その影響もあって、こちらのBlogの更新も本日になってしまった。

2週間後の準決勝戦、決勝戦が楽しみであるが、その話題はさておき。。。


連休前半に電気店を訪れた際、思いがけない商品を見つけた。

電動スクーターが電気店で販売されていたのだ。

電動スクーターとは、ガソリンを燃料に使わず、家庭用のコンセントで充電する電気を動力源にするスクーター。

電気店にスクーター?

かなり意外な組み合わせだが、最近の話題の環境問題の関心も手伝い、しばし説明員の話に聞き入ってしまった。

同社の商品は、Webでも見れるので(動画あり)、興味のある方はご覧いただきたい。

ついでに調べてみると、こういった商品は他社でも紹介されており、Webを一通り、見たところでは、下記の商品が目に付いた。

また、YouTubeにも紹介されているので、こちらもご覧いただきたい。
(開始後、2:46くらいから具体的な商品の紹介が始まる)

http://www.youtube.com/watch?v=Ghc0yt7S_uw

このような電気で動くスクーターや自動車が注目されてきたが、ポイントは、CO2排出削減はもとより、何しろ、維持費が安いことだろう。

先の電気店で紹介されていたスクーターは1円で約3Km走るという。

燃費のいいガソリン・原付バイクのなかでは、スズキのアドレスV50Gが評判のようだが、こちらの燃費の参考値が1ℓ=76kmなので、仮に1ℓ=130円としても、1円で585mくらいしか走らない。

景気の浮上の足取りが重いなか、環境にやさしく、かつ、経済的にもメリットのある、電気を動力源にする商品が、今後、支持されない訳はない。


実は、19日(土)に、私が住む神奈川県では、全国の自治体でもユニークな取り組みがこの週末より開始された。

「EVシェアリングモデル事業」という、排ガスの出ない電気自動車(EV)のレンタカーを県と県民が分け合う事業で、全国初の試みという。

平日、県が業務で使用するEVを、土日祝日は県民に貸し出すもので、利用料金はガソリン車並みの3時間まで5,250円に抑えられるといい、当面、来年3月19日まで続けるとのこと。

詳しくは、こちらの記事をご覧いただきたい。

民主党出身の松沢氏が知事を務める自治体らしい、県民と自治体が直結した事業として、注目されるところである。

おそらく、車両管理はレンタカー事業者のほうでやるのであろうから、自治体としてもメリットがあるし、それよりも何よりもそういった先進的なサービスを享受できる県民のメリットも大きい。

これまでもマンションの住民向けにカーシェアリングを提供するものはあったが、それを自治体が行うのだからスケールが大きい。

一方で、自動車メーカー側の観点からこの影響で販売が減少するのではと心配する声も出そうだが、そもそも、今の若者は車を購入するモチベーションが高くないように思えるので、この事業そのもので、直接、大きな影響を受けるものではないと思う。

むしろ、レンタルCDやビデオではないが、シェアリングを通じて、自動車と接点を持つことで販売機会が生まれるのではないか。

この神奈川県の事業には、富士重工業と三菱自動車の車が対象になっているようだが、業界の1番手とはいえないこの2社が、他社に先駆けて取り組んでいるのは、決して、偶然ではないだろう。

まだ、この事業の期間は半年くらいあるので、ぜひ、一度、利用してみようと思う。


そういえば、以前のBlogでも紹介させていただいたが、アメリカにお住まいで、アメリカ初のソーシャル・ビジネスを週1回紹介されている、斎藤槇さんの今回のメールでは、自動車シェアリングサービスを手掛ける、Zipcarと、サンフランシスコ市の取り組みが紹介されていた。

先の事例もそうだったが、斎藤さんとは関心を寄せるトピックスが重なるようだ。

メールによれば、Zipcarとサンフランシスコ市は、ハイブリッドカー利用を促進しており、Zipcarは利用者に提供できるハイブリッド車を増やす一方、市は市庁舎前にチャージできるステーションを設置するといった協働とのこと。

Zipcarのサービス・コンセプト(英語): 

なんでも、サンフランシスコ市は全米でも1、2を争う環境にやさしい都市とのことで、現在、また、同市はマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボとの共同プロジェクトとして、スマートスクーター、モーター付き自転車の導入も検討しているという。

先に紹介したようなスマートスクーターにも対象を拡げようというのだから、その意気込みはかなり野心的といえる。

日本の場合、スクーターのほうは自治体のシェアリング事業とするのもいいが、利用者のアクセスの良さという面では郵便局も面白いかもしれないが。


これらを客観的に見ると、便利でエコだけではなく、それ以前に安全が最も重視されなければならず、そういう意味では、決して参入障壁は低くはないと言える。

ただ、これも見方を変えれば、ボランティアではできない、事業者として取り組むべき事業で、事業者が新規参入する余地が十分にあるともいえる。

日本の内需振興をもたらす、新しい事業になるか。

生活習慣を劇的に変えるようなインパクトを予感させる事業なので、いずれにしても大いに期待したい。

自治体もそのメリットを享受しつつ、サポートしてもらいたい事業である。

K


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2009年9月15日火曜日

購買力平価と為替から考える日本の課題

先の週末は何かと慌ただしかった。

土曜日の朝から長時間の試験を行い(この歳でさすがにつらかった)、それが終わってからある講演会に参加、その日一日の労をねぎらうために夜はライブに出掛けたまでは良かったが、やや飲みすぎたためか、体調を崩し、日曜日はほとんどまともに動くことができなかった。

後半はなんとも情けなかったのが、こんな時にもいろいろと発見はあるものである。

今回のブログは、最近、個人的に目に触れる機会が多い話題である、購買力平価と為替の関係を取り上げて、日本の課題をまとめてみたい。

購買力平価ということば自体、かなり堅い表現なのに、なぜこんなに目に触れるかといえば、日本がデフレ・トレンドを辿っているのを意識していて、やはりモノの値段に関する話題に敏感なせいかもしれない。

そのため、目を通す新聞記事や講演会の話題などについても意識してしまい、取り上げられる機会が多いと感じてしまうのだろう。

結論からいえば、購買力平価の観点から判断すると、相対的に、日本円は他の通貨と比べて、10年以上その価値を下げ続けているらしい。

言い換えれば、外国から見れば、日本のモノはどんどん安く変えるようになる一方、海外のモノは、どんどん高くなり、買いにくくなっているのだ。

身近な例でいえば、日本から海外旅行に行く場合、コストは膨らむ一方で、日本に来る外国人観光客にとっては、日本のモノはますますお買い得になっているようなものだ。

この観点からすれば、サブプライムローン問題が表面化するまで自動車や電機などの輸出産業の業績が良かったのは偶然ではないと言える。

そうはいっても、皆さんは、日頃、テレビや新聞で目にする為替レートで、そういう理解がしっくりこないかもしれない。

ただ、メディアで紹介される為替レートは、物価水準が反映されていない、いわば名目の実効レートになるため、実質的な通貨の価値を反映しておらず、これだけでは為替の価値を判断できない。

そこで、購買力平価の出番になるわけだが、まずは、その基本的なコンセプトについて、説明したい。

購買力平価は、同じ商品であれば、どこの国でも、同じ価格で売られているはず、という原理に基づいた説である。

例としてよく引用されるのがハンバーガーで、日本において100円で売られているものがアメリカでは1ドルで売られている場合、購買力平価、言い換えると、為替相場の均衡点は、1ドル=100円となる。

この説のよりどころになっているのが、為替需給による自動調整機能で、もし、ある国の通貨が購買力平価に比べて割高になっているならば、輸出競争力が低下し、経常収支は悪化、その結果、その通貨の需給は「ゆるみ」、適正価格水準に向かって次第に下落していく、というメカニズムが働くという。

12日(土)に聴いた、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの五十嵐敬喜氏の話では、90年代半ば以降、日本の物価水準は海外に比べてじわじわと下がっており、その差は広がっているという。




そのため、上記のようなセオリーを適用すれば、日本円の実効レートは、円高に振れてよいはずなのだが、そうとはならず、実際には、円安トレンドになっているそうだ。

この理由は、我々が普段、メディアで目にする円の名目レートが、物価のズレほどには、円高になっていないためとのこと。

関連して、9月6日付の日経ヴェリタスでの深谷幸司氏の分析は興味深い。

主要通貨について、購買力平価を試算しているので、ここでご紹介しておこう。

米ドル: 1ドル=97円(消費者物価基準)/87円(資本財物価基準)
豪ドル: 1豪ドル=66円(消費者物価基準)
英ポンド: 1ポンド=148円(消費者物価基準)

(註: 深谷氏も紙面で述べているが、いずれも起点とする年や用いる物価指数もひとつではなく、絶対的な購買力平価ではないので、ひとつの参考値としてご確認いただきたい)

この試算と現在のレートを比較すると、実効レート以上に円安であることが見て取れる。

では、今後、米ドルと日本円を比較した場合、為替レートはどうなるのか?

前出の五十嵐氏は、米国の財政収支に着目しており、大幅に上昇する財政赤字を見越したうえで、それでも政策効果が実感できれば、リスク許容度が増し、ドルを売る動きが出るものと予測しており、そうなれば、ドル安・円高になるという。

ただし、日米の金利差が予想以上に開いた場合、ドルを買う動きの影響で、ドル高・円安にもなり得る、と付け加えていた。

これらを総合すると、物価を加味したうえで理論的に円の価値を考えれば、日頃目にする為替レートはもっと円高になってもおかしくない状況であることは理解いただけると思う。

一方で、賃金も上がらず、デフレ傾向が続き(個人的にはそう予想している)、海外との価格の差が開くようであれば、実質的に円安になる傾向は変わらない。

もし、そうなれば、これまでの輸出主導の製造業がけん引する日本経済からの変化は難しくなると同時に、食料や資源の調達がますます不利になっていくと予想される。

理論上、この流れを変えるには、デフレを止めるべきであるが、そのためには消費者の懐具合がそれなりに温かくならなければならないので、賃金の上昇が不可欠である。

そのためには、これ以上の失業率の悪化は防がねばならない、ということになるので、セーフティーネットも大事だが、より根本的には雇用を創出する政策がもっと大事になる、という、いつもの結論に落ち着くわけだ。

明日、誕生する鳩山新政権にその課題克服を期待しつつ、我々が主体性を持って取り組めることはないか、これからも考えていきたいと思う。

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