13日に発表されたJALの決算内容は、最終損益が1,312億円の赤字、本業の資金収支を表す営業キャッシュフローは400億円近い赤字、そして、手元資金は3月末に比べ4割減少、1,000億円を割り込んだという内容だった。
本業で稼げないために、「手持ち資金を取り崩して事業を続けている」(同社財務担当 金山佳正取締役)状況が浮き彫りになったといえよう。
決算前には、金融機関への債務返済を一時停止する事業再生ADR(裁判外紛争手続き)の申請、つなぎ融資を確保して事業の継続にめどをつけた。
これら一連の内容から、ナショナル・フラッグというネーミングからは程遠い「自転車操業」の姿が浮き彫りになる。
私がビジネス・スクールで戦略論を学んでいた頃、事業運営の原則として、教授から口酸っぱく叩き込まれたフレームワークがある。
π=p・q-k
π: 利益
p: 価格/単価
q: 数量
k: コスト
となるが、何のことはない、利益はどのように生み出されるかということで、
1) 価格/単価を上げる
2) 販売量を増やす
3) コストを減らす
という3つが重要だということだ。
これに現金の受け取りと支払いを表す資金繰りを反映させれば、さらに完成度が上がり、資金調達のためのコスト(利息や配当など。専門用語で「資本コスト」という)を上回る利益(=π)を出せれば、利益率は低くても事業は継続できるというものだ。
昨年の金融危機でパニックになったのは、実際の現場では、お金を調達する際、信用という要素が重要で、その信用の基準が崩れてしまったために、事業会社はおろか、お金の出してくれるはずの銀行間ですら、お金が回らなくなり、その混乱ぶりたるや、一時的に社債などの債券利回りが配当利回以上になるという、普通では考えられない状況に陥ったわけだ。
やや脱線したが、考え方をシンプルにするために、冒頭のフレームワークで今回のJAL問題を捉えてみたい。
なお、JALの年金問題について、年金を受け取る側の権利面から法律の観点から捉えるのは、他のブログやその道の専門家に譲りたい。
企業年金の受給権は私的財産権であり、受給者の権利保護の観点から本件を捉え、NTTやりそなホールディングスなどのケースを引き合いにして語るのもいいが、そもそも支払原資がなければ成立しないでしょう、という意識のほうが強いためだ。
話を元に戻すが、今回の年金原資はコストに含まれる。
これまでの約束どおりの年金を支払い続ければ、コストが上昇、利益が少なくなり、いまのJALの体力(=現金の保有額、もしくは調達能力)からいえば会社が存続できない。
そうなれば、今後の年金の支払いの見通しがつかなくなる。
よって、年金支払減額ということが言われるのだが、もうひとつの手段としては、年金を含む債務を切り離す、ということが選択肢もあるのかもしれない。
これは、現在のJRが民営化した際に、国鉄の債務を切り離し際にとられた措置で、現在、国鉄清算事業本部がその清算業務を引き継いでいるそうだが、年金が含まれる将来費用については、3兆円を国鉄清算事業本部、厚生年金移換金など7,000億円をJRがこれまでの負担分とは別に返済し、その残りは債務免除となったとのこと。
ただ、同様の債務切り離し、一部債務免除という処置ができるのかというと、今、議論されている内容では、JALへの税金投入が精いっぱい(しかも、その際、年金は減額が条件)なのでかなり難しい。
そうなると、年金原資の利益を増やすには、売上を伸ばすか、その他コストを大幅に削減するということになる。
ただ、これが容易に実現されるのであれば、これまでの苦闘もないはずで、少し発想を転換しなければならないのではないか。
売上のpとqを伸ばし、コストのkを減らす手法としては、海外のLow-Cost Carrier(LCC)とよばれる、格安航空会社の事業手法は参考になることが多いと思われる。
そのひとつが低コスト化を実現したうえでの地方航空の活用である。
ここでは、アイルランドのライアンエアが参考になる。
同社の徹底したコスト削減効果により、都市から離れた空港へのアクセスコストを上回る圧倒的な低運賃を設定することで、見放されていた地方空港へ旅客増が見込め‘Ryanair effect’を生み出しているという。
この結果、地方空港への交渉力が増すために、空港使用料も低く抑えられ、さらにコストが減るというポジティブなスパイラルを生んでいるそうだ。
見方を変えれば、不採算路線というのはあくまでも現在のコスト構造だから、という前提つきなので、現在の「不採算路線」も考え直す必要もあるかもしれない。
また、Virgin GroupのVirgin Blue参入の対抗手段として、カンタス航空は、JetStarというLCCを設立、成功事例になっているとも聞く。
いずれもコストを減らさねば成り立たない手法のため、間接人員の多いJALにとって高いハードルだと思うが、雇用といった組織制度面の折り合いをつけながら、携帯電話や電子マネーのさらなる活用による販売コスト削減といった生産性を上げるための施策を考え出さねばならないだろう。
以上のようなπの向上を目指す過程では年金支給額の減額も受け入れて再建をめざし、業績が向上した暁には、また、支給額の水準を検討するのが妥当ではないか。
こうした姿勢が、現役社員と引退されたOB・OGが連帯して取り組むということだと思うが、皆さんはどう感じられるだろうか。
次回は、このフレームを国の年金のほうにあてはめてみたいと思う。
K
2009年11月15日日曜日
2009年11月8日日曜日
JAL再建に見る日本の課題~レガシーコストにどう立ち向かうか?(2)
先週のBlogでは、昨今、取り沙汰されている日本航空の再建問題について触れ、その問題の本質が事業運営以上に年金負担にあること、そして、収入と負債のバランスが取れていない状況を日本の財務構造となぞらえることができるということを指摘した。
先週からのこのトピックスだが、JAL単体の問題を掘り下げるというよりは、JALが抱える事業構造が日本の予算・財務状況と酷似していることを踏まえ、同様の状況が起こったとき、もっと直接的にいえば、公的年金が危機に直面した時に、政府はどう対応するのかということを確認することに焦点を当てたいと思う。
JALは公開企業であるので、国の運営と性質として異なるのは十分に承知のうえであるが、ことここに及んで、事実上、JALが国の管理下に置かれていることは、つなぎ融資への対応、そして、6つの省庁と内閣府が絡む対策本部が発足されていることから明白だろう。
すなわち、JALの本質的な課題であるレガシーコストへの政府対応は、将来の日本のレガシーコスト(=年金)への布石と見てもいいだろう。
以上の前提で、先週の動きをおさらいすると…
・国内外16路線の運航を廃止: 12月から来年6月にかけて、グループの国内線8路線、国際線8路線の計16路線を廃止し、神戸やメキシコ、中国・杭州など5空港から撤退。企業再生支援機構に支援を要請中の日航は、公的支援を受ける見通しで、不採算路線からの撤退を加速させていく。
・冬の賞与カット: 全8労働組合に対して冬の一時金を全額カットする方針を伝えた。
・つなぎ融資への対応: 政府の日航再建対策本部は日航に融資をしている主要銀行に対し、日航支援に必要なつなぎ融資を要請。政府側が求めたつなぎ融資額は1千億円超。主力銀行のうち日本政策投資銀行やみずほコーポレート銀行は、政府が日航の企業年金削減や、日航が活用を申請した企業再生支援機構による支援決定の迅速化などを政府が確約することを条件につなぎ融資に前向きな姿勢を示す。
・年金減、特別立法で通常国会に提出: 日本航空の再建をめぐり、国土交通省は企業年金の支給額を強制的に減額できるようにする特別立法を目指す方針を固めた。来週開かれる政府の日本航空再建対策本部で提案し、合意を得られれば、10年の通常国会に法案を提。
事実上、現在のJALは、年金による負債総額が膨らみ、事業で賄う収入や資産売却で補えない債務超過であると予測される。
事業運営のセオリーでは、事業を続けられる条件は、資本を調達するコストを上回る収入が得られることとされている。
このセオリーを分解すると、収入を増やす、コストを減らす、安くお金を得られるところを探す、そして、(資産がある場合は)売れる資産は売る、となるわけだが、前項の先週のトピックスの前者2つは収入とコストに関するP/Lの話、後半2つは、お金の流れを示すキャッシュフローと資産と負債を表すB/Sの話だ。
そして、今回のJALの問題を改めて繰り返すと、本質的にはP/Lの問題ではなく、B/S側の問題なのである。
先週のBlogで述べた「ざるに水を通す」とはこのことで、いくら事業運営でお金を稼いでも(2006~2008年度決算で一番良くて170億円の黒字、ほか2年は赤字決算)、年金積立の不足分(3,000億円規模)で黒字が消えてしまう事業構造となっていることが問題なのだ。
前原国交相が「もしも年金などのレガシーコストがカットされなければ、会社の存続も厳しいものになる」と述べたと報道されたが、これは何も大げさなことではなく、最も端的にJALの事業構造の問題を指摘していることになる。
だから、JALの本質的な課題である年金問題に切り込むべく、国土交通省は企業年金の支給額を強制的に減額できる特別立法を目指す方針を固めたわけだ。
これに対し、JALのOBが反対の意向を示しているとのことで、記者会見をされたあるOBの方は「提訴も辞さず」と発言、また、JALのOB有志でつくる「JAL企業年金の改定について考える会」が退職者に対し、ウェブサイトで「減額反対」の署名を募ったところ、対象者約9千人中4割を超える3,740人分の署名が集まったという。
この反応に対しては、関係者の方には、大変、不遜な発言と受け取られるかもしれないが、一過言ある。
先の事業構造の問題点などを踏まえ、同会のOB諸氏にお伝えしたいのは、一体誰がこんな事業構造にしたのか?ということだ。
現役社員が自分たちの実入りを削ってまで再建に奔走せざるを得ない状況に追い込み、さらには政府が関与しなければ運転資金が得られず、公的資金の投入の可能性すら必要な会社にしたのは誰の責任なのだろう?
景気後退の影響で、財政状況が厳しいなか、国に対して資金のねん出を迫らざるを得なくなってもなお、OB諸氏が反対の意向を示し続け、果ては訴訟など起こせば、国民全体に背を向けることを覚悟せねばなるまい。
話が長くなってきたので、そろそろ今回の話をまとめたいが、これらの話から得られる教訓は2つ。
1.最悪の事態になったら、国は法律を変えてまでも年金支給を強制的に減額する処置をとる。
2.「最悪の事態」になってから国にその処置の不正を訴えても後の祭り。その事態を作り出す責任は、一部の責任者や役人にあるのではなく、その恩恵や負担の最終責任を負う我々一人一人にある。
環境が変わり、これまでのルールが通用しないかもしれない状況では、現行制度を前提に将来の負担や受益を考えてもあまり意味がない。
どうせ制度を変えるなら、いい方向のほうがいいし、制度変更といったことに踏み込まなくても、個人でできることはあるはず。
国や企業といった組織以上に個人が意味を持つ可能性、そして、昨今、ややもすると金融危機でネガティブに捉えられがちなGlobalizationの動きも味方になってくれるかもしれない。
そんなことも考えながら、次回、今後のアプローチを考えていきたい。
K
先週からのこのトピックスだが、JAL単体の問題を掘り下げるというよりは、JALが抱える事業構造が日本の予算・財務状況と酷似していることを踏まえ、同様の状況が起こったとき、もっと直接的にいえば、公的年金が危機に直面した時に、政府はどう対応するのかということを確認することに焦点を当てたいと思う。
JALは公開企業であるので、国の運営と性質として異なるのは十分に承知のうえであるが、ことここに及んで、事実上、JALが国の管理下に置かれていることは、つなぎ融資への対応、そして、6つの省庁と内閣府が絡む対策本部が発足されていることから明白だろう。
すなわち、JALの本質的な課題であるレガシーコストへの政府対応は、将来の日本のレガシーコスト(=年金)への布石と見てもいいだろう。
以上の前提で、先週の動きをおさらいすると…
・国内外16路線の運航を廃止: 12月から来年6月にかけて、グループの国内線8路線、国際線8路線の計16路線を廃止し、神戸やメキシコ、中国・杭州など5空港から撤退。企業再生支援機構に支援を要請中の日航は、公的支援を受ける見通しで、不採算路線からの撤退を加速させていく。
・冬の賞与カット: 全8労働組合に対して冬の一時金を全額カットする方針を伝えた。
・つなぎ融資への対応: 政府の日航再建対策本部は日航に融資をしている主要銀行に対し、日航支援に必要なつなぎ融資を要請。政府側が求めたつなぎ融資額は1千億円超。主力銀行のうち日本政策投資銀行やみずほコーポレート銀行は、政府が日航の企業年金削減や、日航が活用を申請した企業再生支援機構による支援決定の迅速化などを政府が確約することを条件につなぎ融資に前向きな姿勢を示す。
・年金減、特別立法で通常国会に提出: 日本航空の再建をめぐり、国土交通省は企業年金の支給額を強制的に減額できるようにする特別立法を目指す方針を固めた。来週開かれる政府の日本航空再建対策本部で提案し、合意を得られれば、10年の通常国会に法案を提。
事実上、現在のJALは、年金による負債総額が膨らみ、事業で賄う収入や資産売却で補えない債務超過であると予測される。
事業運営のセオリーでは、事業を続けられる条件は、資本を調達するコストを上回る収入が得られることとされている。
このセオリーを分解すると、収入を増やす、コストを減らす、安くお金を得られるところを探す、そして、(資産がある場合は)売れる資産は売る、となるわけだが、前項の先週のトピックスの前者2つは収入とコストに関するP/Lの話、後半2つは、お金の流れを示すキャッシュフローと資産と負債を表すB/Sの話だ。
そして、今回のJALの問題を改めて繰り返すと、本質的にはP/Lの問題ではなく、B/S側の問題なのである。
先週のBlogで述べた「ざるに水を通す」とはこのことで、いくら事業運営でお金を稼いでも(2006~2008年度決算で一番良くて170億円の黒字、ほか2年は赤字決算)、年金積立の不足分(3,000億円規模)で黒字が消えてしまう事業構造となっていることが問題なのだ。
前原国交相が「もしも年金などのレガシーコストがカットされなければ、会社の存続も厳しいものになる」と述べたと報道されたが、これは何も大げさなことではなく、最も端的にJALの事業構造の問題を指摘していることになる。
だから、JALの本質的な課題である年金問題に切り込むべく、国土交通省は企業年金の支給額を強制的に減額できる特別立法を目指す方針を固めたわけだ。
これに対し、JALのOBが反対の意向を示しているとのことで、記者会見をされたあるOBの方は「提訴も辞さず」と発言、また、JALのOB有志でつくる「JAL企業年金の改定について考える会」が退職者に対し、ウェブサイトで「減額反対」の署名を募ったところ、対象者約9千人中4割を超える3,740人分の署名が集まったという。
この反応に対しては、関係者の方には、大変、不遜な発言と受け取られるかもしれないが、一過言ある。
先の事業構造の問題点などを踏まえ、同会のOB諸氏にお伝えしたいのは、一体誰がこんな事業構造にしたのか?ということだ。
現役社員が自分たちの実入りを削ってまで再建に奔走せざるを得ない状況に追い込み、さらには政府が関与しなければ運転資金が得られず、公的資金の投入の可能性すら必要な会社にしたのは誰の責任なのだろう?
景気後退の影響で、財政状況が厳しいなか、国に対して資金のねん出を迫らざるを得なくなってもなお、OB諸氏が反対の意向を示し続け、果ては訴訟など起こせば、国民全体に背を向けることを覚悟せねばなるまい。
話が長くなってきたので、そろそろ今回の話をまとめたいが、これらの話から得られる教訓は2つ。
1.最悪の事態になったら、国は法律を変えてまでも年金支給を強制的に減額する処置をとる。
2.「最悪の事態」になってから国にその処置の不正を訴えても後の祭り。その事態を作り出す責任は、一部の責任者や役人にあるのではなく、その恩恵や負担の最終責任を負う我々一人一人にある。
環境が変わり、これまでのルールが通用しないかもしれない状況では、現行制度を前提に将来の負担や受益を考えてもあまり意味がない。
どうせ制度を変えるなら、いい方向のほうがいいし、制度変更といったことに踏み込まなくても、個人でできることはあるはず。
国や企業といった組織以上に個人が意味を持つ可能性、そして、昨今、ややもすると金融危機でネガティブに捉えられがちなGlobalizationの動きも味方になってくれるかもしれない。
そんなことも考えながら、次回、今後のアプローチを考えていきたい。
K
2009年11月1日日曜日
JAL再建に見る日本の課題~レガシーコストにどう立ち向かうか?(1)
先週のBlogで政府の予算編成に関して触れたが、その後、国会も始まり、この予算問題について活発にやりとりされている様子がメディアでも取り上げられた。
ほぼタイミングを一にして、JAL再建問題について、10月29日、経営再建を検討してきた専門家チーム「JAL再生タスクフォース」より報告書が提示され、容易ならざる再生への筋道の一部が明らかになった。
前原大臣は、「タスクフォースの案を公表することは意味がない」として、報告書の中身を公表しなかったが、毎日新聞が報じた、JALの再建案骨子は、次のとおり。
◆タスクフォースの日航再建案骨子◆
・企業再生支援機構の活用
・公的資金投入を含めた資本増強(3000億円)
・金融機関の融資
・金融機関による債権放棄(2200億円)と債務の株式化(300億円)
・9000人の人員削減
・45路線を廃止
・企業年金の給付水準の切り下げ
拡張しすぎた路線や余剰人員なども問題であろうが、これは「ナショナル・フラッグ」としての役割を担ってきた代償といえる。また、日本エアシステムとの合併もあったので、事業規模の面では、ANAと比べると大きくなってしまった一方で、組織統合といった側面も含めた資産効率を高める努力が必要だったことも想像に難くないだろう。
最大で8,000億円の債務超過になる見通しや、11月末にも資金ショートする公算が大きいなどが報道されているが、ただ一連の内容をみて思うのは、同社の課題の本質は、事業運営そのものではなく、同社が抱える企業年金負担の重さではないかという印象を受ける。
よくレガシーコストなどといわれ、GM再建報道などを巡って、盛んにとりあげられてきた表現だが、レガシーコストとは、「過去のしがらみから生じる負担(いわゆる負の遺産)のことである。狭義には、企業等が退職者に対して支払い続ける必要のある年金、保険等といった金銭的負担を指して言うことが多い」(出典元:Wiki)
事業規模が大きい分、「古き良き」時代を過ごした退職者も多い分、退職者への年金支払いも膨大となる。
毎日新聞の報道を引用して、JALの年金債務のポイントをまとめようと以下のようになる。
・今年3月末時点で退職金と年金の合計額(退職給付債務)は8,009億円。
・年金資産は4,083億円しかなく、引当金などを除くと3,314億円が積み立て不足。
・運用利率が年4.5%と現在の金利水準よりかなり高く設定されているため、積み立て不足は事実上の「有利子負債」で、経営の大きな負担。
・専門家チーム「タスクフォース」は運用利率を1.5%程度に大幅に引き下げる案をまとめたが、実施には現役社員(約1万7,000人)とOB(約9,000人)の各3分の2以上の同意が必要、承認されれば積み立て不足を約1,000億円に圧縮できると見込む。
つまり、JALの「金庫」には引退したOB諸氏に支払うべき年金の半分くらいしかなく、約束している利率が高いことが輪を掛けて負担を重くしているので、現役社員がいくら経費節減や営業努力に取り組んでも、ざるに水を通すが如く、債務圧縮の効果がない構図になっているのだ。
でも、この話、どこかで聞いたことがないだろうか?
そう、先週、Blogで取り上げた政府予算の構図と似ている。
概算要求の4割を占める厚生労働省の予算だけで税収に匹敵してしまうので、その他の国として運用する予算は、国債などの借金で賄わねばならないという構造と一緒である。
国として会社として、両者に共通する根本的な問題は、既に引退した世代への負担、すなわちレガシーコストにあるといえるのではないか。
レガシーコストの悪化が招く結果として、海の向こうでは、GMが民事再生法を申請、同社の資産を切り売りするなどして再建を目指している。
また、JALの再生スキームも経営破たんこそさせないものの、政府管理下に置き、経営陣の退陣を図ったうえで、債権放棄の要請やつなぎ融資、人員削減、そして、企業年金の利率引き下げに取り組むと報道されているので、事実上、経営破たん後の民事再生プロセスと同様といえなくもない。
それでは、日本はどうすればいいのだろうか?
次回、この続きに触れてみたいと思う。
K
ほぼタイミングを一にして、JAL再建問題について、10月29日、経営再建を検討してきた専門家チーム「JAL再生タスクフォース」より報告書が提示され、容易ならざる再生への筋道の一部が明らかになった。
前原大臣は、「タスクフォースの案を公表することは意味がない」として、報告書の中身を公表しなかったが、毎日新聞が報じた、JALの再建案骨子は、次のとおり。
◆タスクフォースの日航再建案骨子◆
・企業再生支援機構の活用
・公的資金投入を含めた資本増強(3000億円)
・金融機関の融資
・金融機関による債権放棄(2200億円)と債務の株式化(300億円)
・9000人の人員削減
・45路線を廃止
・企業年金の給付水準の切り下げ
拡張しすぎた路線や余剰人員なども問題であろうが、これは「ナショナル・フラッグ」としての役割を担ってきた代償といえる。また、日本エアシステムとの合併もあったので、事業規模の面では、ANAと比べると大きくなってしまった一方で、組織統合といった側面も含めた資産効率を高める努力が必要だったことも想像に難くないだろう。
最大で8,000億円の債務超過になる見通しや、11月末にも資金ショートする公算が大きいなどが報道されているが、ただ一連の内容をみて思うのは、同社の課題の本質は、事業運営そのものではなく、同社が抱える企業年金負担の重さではないかという印象を受ける。
よくレガシーコストなどといわれ、GM再建報道などを巡って、盛んにとりあげられてきた表現だが、レガシーコストとは、「過去のしがらみから生じる負担(いわゆる負の遺産)のことである。狭義には、企業等が退職者に対して支払い続ける必要のある年金、保険等といった金銭的負担を指して言うことが多い」(出典元:Wiki)
事業規模が大きい分、「古き良き」時代を過ごした退職者も多い分、退職者への年金支払いも膨大となる。
毎日新聞の報道を引用して、JALの年金債務のポイントをまとめようと以下のようになる。
・今年3月末時点で退職金と年金の合計額(退職給付債務)は8,009億円。
・年金資産は4,083億円しかなく、引当金などを除くと3,314億円が積み立て不足。
・運用利率が年4.5%と現在の金利水準よりかなり高く設定されているため、積み立て不足は事実上の「有利子負債」で、経営の大きな負担。
・専門家チーム「タスクフォース」は運用利率を1.5%程度に大幅に引き下げる案をまとめたが、実施には現役社員(約1万7,000人)とOB(約9,000人)の各3分の2以上の同意が必要、承認されれば積み立て不足を約1,000億円に圧縮できると見込む。
つまり、JALの「金庫」には引退したOB諸氏に支払うべき年金の半分くらいしかなく、約束している利率が高いことが輪を掛けて負担を重くしているので、現役社員がいくら経費節減や営業努力に取り組んでも、ざるに水を通すが如く、債務圧縮の効果がない構図になっているのだ。
でも、この話、どこかで聞いたことがないだろうか?
そう、先週、Blogで取り上げた政府予算の構図と似ている。
概算要求の4割を占める厚生労働省の予算だけで税収に匹敵してしまうので、その他の国として運用する予算は、国債などの借金で賄わねばならないという構造と一緒である。
国として会社として、両者に共通する根本的な問題は、既に引退した世代への負担、すなわちレガシーコストにあるといえるのではないか。
レガシーコストの悪化が招く結果として、海の向こうでは、GMが民事再生法を申請、同社の資産を切り売りするなどして再建を目指している。
また、JALの再生スキームも経営破たんこそさせないものの、政府管理下に置き、経営陣の退陣を図ったうえで、債権放棄の要請やつなぎ融資、人員削減、そして、企業年金の利率引き下げに取り組むと報道されているので、事実上、経営破たん後の民事再生プロセスと同様といえなくもない。
それでは、日本はどうすればいいのだろうか?
次回、この続きに触れてみたいと思う。
K
2009年10月25日日曜日
今、民主党政権に必要なもの
私は、民主党政権になってから、ちょっと気にかけていたことがあった。
前にブログでも触れたのだが、鳩山政権が予算決めをどうするのかにとても興味があった。
私の読みでは、今年度は福祉でも公共工事でも予算をバラまいてとにかく景気回復を早める一方で、来年度の予算で民主党の色を強く打ち出すものと考えていた。
来年度予算について大ざっぱにいえば、今年度のバラまきで生じる「貯金」も利用しつつ、緊縮型にして短期的な景気回復を犠牲にして国の借金を減らす方向を目指すか、または、景気浮揚を目指して大幅に支出を増やすか(→歳入の増加が見込めない現状では、後者は国の借金を増やすことに他ならない)の2つの選択肢があると思うが、どちらを選択するかで民主党政権の方向性が理解できると思っていたのだ。
ここ最近のニュースで、来年度予算の概要がメディアを通じて伝わってきたので、自分の読みに対して、現実的にどうなっているのか検証してみた。

結論から言うと、現段階では、私の予測は最初から見込み違いであったようだ。
というのも、そもそも今年度の補正予算からして緊縮型でバラまきではないのである。
自民党政権が決めた補正予算を、結果的に3兆円減らすことを決めた。
国土交通省の並々ならぬ予算削減作業が報道されたのは記憶に新しいと思う。
これにより、今年度補正予算は10.8兆円になり、当初の規模から2割以上カットされた。
そして、来年度予算だが、今年度の補正予算を除いた当初予算は各省の要求を積み上げると95兆円規模になり、今年度予算を組んだ自民党政権より6.5兆円も多くなる。
数字だけみると、歳出増加による景気浮揚を目指すように思えるが、行政刷新担当相の仙石さんが92兆円、財務相の藤井さんは90兆円まで減らしたいと言っており、その言葉から、少なくとも両氏は来年度の予算編成については、借金を減らす緊縮型財政を目指していると伺える。
ここから見出せるのは、基本的に民主党の政策は景気の先行きとそれに伴う雇用創出にプライオリティは置かず、借金を減らす予算緊縮を目指しているものの、マニュフェストで掲げた子ども手当(10年度 2.3兆円)などの福祉政策の実現を目指す結果、予算規模は増大し、借金も増えてしまうという構図である。
よって、よく言われる、施策実施に向けた財源の確保と景気の二番底への配慮が見えない。
環境問題と高速道路無料化への対応が矛盾するという指摘がよく言われるが、ひとことでいうと全体としてチグハグなのだ。
同じ国債を切るなら、景気が落ち込み、失業率の高い今、すなわち、今年度の補正予算のほうが来年度予算より、社会的課題と景気浮揚の両面で効果的だろうと思う。
経済の側面から考えれば、そもそも職を得て消費が活発にならない限り、景気も良くならないので、企業の業績も上がらない、また、税金の面から捉えると、経済活動が活発にならない限り、所得税、消費税、法人税のいずれも増えないので、借金依存が長引く構図となる。
国債を打つなら今年度の補正でドン打つ、という真意は、こういうことで、早く手を打つほうがいいのだろうと思うし、(あまりこういうこうとは言いたくないが)世論も味方にしやすいだろうから、来年の参議院選にもいい影響が出るはずなのだ。
先週、管直人副総理・国家戦略担当相が「予算の在り方に関する検討会」を開催、有識者を集めた結果、「中長期的な財政規律の在り方」を明確にしたうえで、3年間という中期スパンで歳入見込みと歳出削減を一体で示す、複数年度予算の導入が検討されたが、結果的に23日の閣議決定における予算改革の方針からはこのプランも先送りされたそうだ。
このエピソードから、予算編成の見通しを現時点では明確にしたくないという政権の意思表示とも受け取れるし、そこまでのコンセンサスが民主党内、そして、連立を組んだほか2党との間でとられていない証左であるかもしれない。
この予算編成について、極めて単純に、かつ、厳しい言い方をすれば、実入りを増やすことも考えないで、受け取るお金以上のお金を使うことばかりを考えているようなものだ。
ここで予算面でも社会政策面でも非常に存在感を示す省庁がある。
メディアは、八ツ場ダムやJAL、高速道路無料化などで国土交通省にスポットをあてるが、実は、その存在感は厚生労働省の比ではない。
何しろ、概算要求額の4割近くの予算(これはほぼ来年度の税収に匹敵する額です)を提示し、子ども手当も管轄しつつ、年金問題への取り組みや新型インフルエンザの対応も迫られる。
高齢化社会を迎えたことで構造的に重責を担わざるを得ないのだが、民主党政権になったことで、さらにそのプレゼンスが増したといえよう。
ミスター年金こと長妻大臣の手綱さばきに期待したいところだが、一方で早くも大臣間の予算折衝では「長妻包囲網」が始まっていると聞く。
そういった姿勢が厚労省から冷やかに受け止められると、今後の活動にも悪影響が出てくるだろう。
こういった一連の民主党政権の運営を見るにつけ、発足した当初の安倍政権の様子が思い起こされるのは私だけだろうか。
フレッシュな顔ぶれで小泉構造改革路線を引き継ぐと期待されたものの、結果的に自民党内部の守旧派に取り崩される一方、郵政民営化反対議員の自民党復党問題や閣僚人事で世論からも袋叩きにあい、禅譲を余儀なくされた。
やはり、政治においては、崩してはいけないことをしっかりと堅持しつつ、その実施のために、したたかに策を打つことも必要だろうと思う。
今、民主党に必要なのは、政策の軸が何でそれを何で支えるかという政策のプライオリティ付けなのかもしれない。
K
前にブログでも触れたのだが、鳩山政権が予算決めをどうするのかにとても興味があった。
私の読みでは、今年度は福祉でも公共工事でも予算をバラまいてとにかく景気回復を早める一方で、来年度の予算で民主党の色を強く打ち出すものと考えていた。
来年度予算について大ざっぱにいえば、今年度のバラまきで生じる「貯金」も利用しつつ、緊縮型にして短期的な景気回復を犠牲にして国の借金を減らす方向を目指すか、または、景気浮揚を目指して大幅に支出を増やすか(→歳入の増加が見込めない現状では、後者は国の借金を増やすことに他ならない)の2つの選択肢があると思うが、どちらを選択するかで民主党政権の方向性が理解できると思っていたのだ。
ここ最近のニュースで、来年度予算の概要がメディアを通じて伝わってきたので、自分の読みに対して、現実的にどうなっているのか検証してみた。
結論から言うと、現段階では、私の予測は最初から見込み違いであったようだ。
というのも、そもそも今年度の補正予算からして緊縮型でバラまきではないのである。
自民党政権が決めた補正予算を、結果的に3兆円減らすことを決めた。
国土交通省の並々ならぬ予算削減作業が報道されたのは記憶に新しいと思う。
これにより、今年度補正予算は10.8兆円になり、当初の規模から2割以上カットされた。
そして、来年度予算だが、今年度の補正予算を除いた当初予算は各省の要求を積み上げると95兆円規模になり、今年度予算を組んだ自民党政権より6.5兆円も多くなる。
数字だけみると、歳出増加による景気浮揚を目指すように思えるが、行政刷新担当相の仙石さんが92兆円、財務相の藤井さんは90兆円まで減らしたいと言っており、その言葉から、少なくとも両氏は来年度の予算編成については、借金を減らす緊縮型財政を目指していると伺える。
ここから見出せるのは、基本的に民主党の政策は景気の先行きとそれに伴う雇用創出にプライオリティは置かず、借金を減らす予算緊縮を目指しているものの、マニュフェストで掲げた子ども手当(10年度 2.3兆円)などの福祉政策の実現を目指す結果、予算規模は増大し、借金も増えてしまうという構図である。
よって、よく言われる、施策実施に向けた財源の確保と景気の二番底への配慮が見えない。
環境問題と高速道路無料化への対応が矛盾するという指摘がよく言われるが、ひとことでいうと全体としてチグハグなのだ。
同じ国債を切るなら、景気が落ち込み、失業率の高い今、すなわち、今年度の補正予算のほうが来年度予算より、社会的課題と景気浮揚の両面で効果的だろうと思う。
経済の側面から考えれば、そもそも職を得て消費が活発にならない限り、景気も良くならないので、企業の業績も上がらない、また、税金の面から捉えると、経済活動が活発にならない限り、所得税、消費税、法人税のいずれも増えないので、借金依存が長引く構図となる。
国債を打つなら今年度の補正でドン打つ、という真意は、こういうことで、早く手を打つほうがいいのだろうと思うし、(あまりこういうこうとは言いたくないが)世論も味方にしやすいだろうから、来年の参議院選にもいい影響が出るはずなのだ。
先週、管直人副総理・国家戦略担当相が「予算の在り方に関する検討会」を開催、有識者を集めた結果、「中長期的な財政規律の在り方」を明確にしたうえで、3年間という中期スパンで歳入見込みと歳出削減を一体で示す、複数年度予算の導入が検討されたが、結果的に23日の閣議決定における予算改革の方針からはこのプランも先送りされたそうだ。
このエピソードから、予算編成の見通しを現時点では明確にしたくないという政権の意思表示とも受け取れるし、そこまでのコンセンサスが民主党内、そして、連立を組んだほか2党との間でとられていない証左であるかもしれない。
この予算編成について、極めて単純に、かつ、厳しい言い方をすれば、実入りを増やすことも考えないで、受け取るお金以上のお金を使うことばかりを考えているようなものだ。
ここで予算面でも社会政策面でも非常に存在感を示す省庁がある。
メディアは、八ツ場ダムやJAL、高速道路無料化などで国土交通省にスポットをあてるが、実は、その存在感は厚生労働省の比ではない。
何しろ、概算要求額の4割近くの予算(これはほぼ来年度の税収に匹敵する額です)を提示し、子ども手当も管轄しつつ、年金問題への取り組みや新型インフルエンザの対応も迫られる。
高齢化社会を迎えたことで構造的に重責を担わざるを得ないのだが、民主党政権になったことで、さらにそのプレゼンスが増したといえよう。
ミスター年金こと長妻大臣の手綱さばきに期待したいところだが、一方で早くも大臣間の予算折衝では「長妻包囲網」が始まっていると聞く。
そういった姿勢が厚労省から冷やかに受け止められると、今後の活動にも悪影響が出てくるだろう。
こういった一連の民主党政権の運営を見るにつけ、発足した当初の安倍政権の様子が思い起こされるのは私だけだろうか。
フレッシュな顔ぶれで小泉構造改革路線を引き継ぐと期待されたものの、結果的に自民党内部の守旧派に取り崩される一方、郵政民営化反対議員の自民党復党問題や閣僚人事で世論からも袋叩きにあい、禅譲を余儀なくされた。
やはり、政治においては、崩してはいけないことをしっかりと堅持しつつ、その実施のために、したたかに策を打つことも必要だろうと思う。
今、民主党に必要なのは、政策の軸が何でそれを何で支えるかという政策のプライオリティ付けなのかもしれない。
K
2009年10月17日土曜日
社会貢献活動とシニア層の存在感
まだ、私が経営学の勉強をしていた頃、気になる女性Jazzミュージシャンがいた。
それはヴァイオリン奏者の寺井尚子さんで、演奏の実力もさることながら、ルックスの良さに加え、情熱的な演奏はこれまでにないもので、当時、私が読んだ新聞記事は、今までにない新しいジャンルを切り拓く期待の新星、と紹介していたように記憶している。
勉強を終え、会社勤めに復活したら、いつかコンサートに行こうと思いながら、この数年、なかなかそれが実現しなかったのだが、今週、その機会が突如、訪れた。
先週のJazzイベントのさなか、会場のポスターで近くのホールでコンサートが催されるのを知ったわけだが、平日開催だったために行けないことも考えられ、あまり意識しないように過ごしてきた。
だが、コンサート当日となる昨日金曜日、仕事が早く切り上げられそう期待がもてた時点で、早速、空き状況を確認するため、電話をしてみた。
「はい、いのちの電話 事務局でございます」
ん?
この一週間というもの、仕事のことを気にしつつ、チケットが手に入るか否かは私にとって相当な懸案事項だったが、いのちに関わるほど深刻ではない。
間違い電話??
「あの~、本日の寺井尚子のコンサートのことでお電話したのですが・・・」
「ご連絡、ありがとうございます。このお電話で承ります」
あれっ?この電話でよかった??
手元の資料を見てわかったのだが、今回のコンサートは、いのちの電話が企画したコンサートだったのだ。
電話で当日券に余裕があることを確認し、早々に仕事を切り上げて会場に向かったわけだが、会場に着いてさらに驚いた。
先週の市を上げてのJazzイベントや日頃出掛けるJazzバーとは明らかに異なるシニアの方々で、会場がごった返していたからである。
会場のホールは、おじさま、おばさま方でほぼ満員、入口の付近で催されていたバザーにもシニアの方々がたくさんいらっしゃった。
おそらく、寺井さんのコンサートを通じて、いのちの電話の活動を広く知っていただくとともに、同時に催されるバザーや寄付などで活動資金を集めるのが目的なのだろう。
まさしく寺井尚子さんにつられてきた私のような新参者は格好のターゲットだったわけだが、来場者の多くはいのちの電話の活動を支援している方と思われ、会場ではその熱気に押されるようだった。
寺井さんのライブは予想に違わず、素晴らしく、そのヴァイオリンの音色にすっかり魅了されてしまったが、純粋な音楽好きが集う会場とは、また、違う雰囲気に触れて、こういう社会的な支援の仕方もあるんだなと実感した次第である。
家に帰って調べたところ、いのちの電話のボランティアスタッフも高齢化が進み、これまで続けてきた24時間対応ができない地域もでてきたようなので、今回のような活動によって、少しでも、いのちの電話に助けを求める人たちや運営側に回っているスタッフへの理解が高まり、社会的に後押しできる機運が拡がればいいと思う。
それにしても、その主役の一端を担っているのが、その会場にいらっしゃったシニアの方々かと思うと、「世代間格差」などと軽はずみに、シニアの方々に対してやや刺激の強い主張をしてきた自分が恥ずかしくなってしまった。
一方で、私も含め、もっと若い世代が後押ししてもいいんだろうとも思う。
前回紹介した、Virgin GroupのRichard Branson氏の本(
僕たちに不可能はない)によれば、Virgin Groupはチャリティー活動として、いのちの電話と同じような活動をVirgin Uniteというプログラムで行っているとのこと。
しかも、この取り組みはVirginが大きくなってから始めたものではなく、Virginの初期の事業のひとつである、「Student」という雑誌を発行していたときから行ってきたものだという。
社会貢献活動において先駆けた取り組みの多いイギリスならではの話だと思うが(いのちの電話ももともとはイギリスの活動にヒントを得たものとのこと)、近年、うつ病を発症する方や自殺者が増加している日本でも、もっと社会的なインパクトを持てるように、活動に厚みが出てくることを期待する。
個々人の活動に対する支援の気持ちが重要なのは疑いようもないが、今回のような著名なアーティストやVirginのような世界的な企業の協力を仰ぐような、広報的なアプローチも必要だろうと思う。
これはマーケティング活動と同じような考え方だと思うのだが、認知もなく、関心も持たれないことにサポーターの協力は得られない。
そう思うと、対象がなんであれ、自分の得意な分野で社会に役立つことができるのではないか思えるわけである。
楽器がまともに演奏できない自分には音楽で社会貢献はできないだろうが、自分の好きなことや強みと思えることで何か役立つことができるかもしれない。
そういう想いに至ったことで、今回のコンサートはいいきっかけを与えてくれたと思うと同時に、自分に何ができるのか真摯に考えなければならないという想いが強くなった次第である。
K
P.S.
本当は、今日、参加したイベントで実感した、シニアの方々によるもうひとつの社会貢献活動を紹介したかったのだが、やや長くなったので、また、機会があったら、紹介したいと思う。
それはヴァイオリン奏者の寺井尚子さんで、演奏の実力もさることながら、ルックスの良さに加え、情熱的な演奏はこれまでにないもので、当時、私が読んだ新聞記事は、今までにない新しいジャンルを切り拓く期待の新星、と紹介していたように記憶している。
勉強を終え、会社勤めに復活したら、いつかコンサートに行こうと思いながら、この数年、なかなかそれが実現しなかったのだが、今週、その機会が突如、訪れた。
先週のJazzイベントのさなか、会場のポスターで近くのホールでコンサートが催されるのを知ったわけだが、平日開催だったために行けないことも考えられ、あまり意識しないように過ごしてきた。
だが、コンサート当日となる昨日金曜日、仕事が早く切り上げられそう期待がもてた時点で、早速、空き状況を確認するため、電話をしてみた。
「はい、いのちの電話 事務局でございます」
ん?
この一週間というもの、仕事のことを気にしつつ、チケットが手に入るか否かは私にとって相当な懸案事項だったが、いのちに関わるほど深刻ではない。
間違い電話??
「あの~、本日の寺井尚子のコンサートのことでお電話したのですが・・・」
「ご連絡、ありがとうございます。このお電話で承ります」
あれっ?この電話でよかった??
手元の資料を見てわかったのだが、今回のコンサートは、いのちの電話が企画したコンサートだったのだ。
電話で当日券に余裕があることを確認し、早々に仕事を切り上げて会場に向かったわけだが、会場に着いてさらに驚いた。
先週の市を上げてのJazzイベントや日頃出掛けるJazzバーとは明らかに異なるシニアの方々で、会場がごった返していたからである。
会場のホールは、おじさま、おばさま方でほぼ満員、入口の付近で催されていたバザーにもシニアの方々がたくさんいらっしゃった。
おそらく、寺井さんのコンサートを通じて、いのちの電話の活動を広く知っていただくとともに、同時に催されるバザーや寄付などで活動資金を集めるのが目的なのだろう。
まさしく寺井尚子さんにつられてきた私のような新参者は格好のターゲットだったわけだが、来場者の多くはいのちの電話の活動を支援している方と思われ、会場ではその熱気に押されるようだった。
寺井さんのライブは予想に違わず、素晴らしく、そのヴァイオリンの音色にすっかり魅了されてしまったが、純粋な音楽好きが集う会場とは、また、違う雰囲気に触れて、こういう社会的な支援の仕方もあるんだなと実感した次第である。
家に帰って調べたところ、いのちの電話のボランティアスタッフも高齢化が進み、これまで続けてきた24時間対応ができない地域もでてきたようなので、今回のような活動によって、少しでも、いのちの電話に助けを求める人たちや運営側に回っているスタッフへの理解が高まり、社会的に後押しできる機運が拡がればいいと思う。
それにしても、その主役の一端を担っているのが、その会場にいらっしゃったシニアの方々かと思うと、「世代間格差」などと軽はずみに、シニアの方々に対してやや刺激の強い主張をしてきた自分が恥ずかしくなってしまった。
一方で、私も含め、もっと若い世代が後押ししてもいいんだろうとも思う。
前回紹介した、Virgin GroupのRichard Branson氏の本(
僕たちに不可能はない)によれば、Virgin Groupはチャリティー活動として、いのちの電話と同じような活動をVirgin Uniteというプログラムで行っているとのこと。
しかも、この取り組みはVirginが大きくなってから始めたものではなく、Virginの初期の事業のひとつである、「Student」という雑誌を発行していたときから行ってきたものだという。
社会貢献活動において先駆けた取り組みの多いイギリスならではの話だと思うが(いのちの電話ももともとはイギリスの活動にヒントを得たものとのこと)、近年、うつ病を発症する方や自殺者が増加している日本でも、もっと社会的なインパクトを持てるように、活動に厚みが出てくることを期待する。
個々人の活動に対する支援の気持ちが重要なのは疑いようもないが、今回のような著名なアーティストやVirginのような世界的な企業の協力を仰ぐような、広報的なアプローチも必要だろうと思う。
これはマーケティング活動と同じような考え方だと思うのだが、認知もなく、関心も持たれないことにサポーターの協力は得られない。
そう思うと、対象がなんであれ、自分の得意な分野で社会に役立つことができるのではないか思えるわけである。
楽器がまともに演奏できない自分には音楽で社会貢献はできないだろうが、自分の好きなことや強みと思えることで何か役立つことができるかもしれない。
そういう想いに至ったことで、今回のコンサートはいいきっかけを与えてくれたと思うと同時に、自分に何ができるのか真摯に考えなければならないという想いが強くなった次第である。
K
P.S.
本当は、今日、参加したイベントで実感した、シニアの方々によるもうひとつの社会貢献活動を紹介したかったのだが、やや長くなったので、また、機会があったら、紹介したいと思う。
2009年10月11日日曜日
経済発展と環境にやさしい社会の実現 ~『Gaia Capitalism』
私の住むこの街では、昨日と本日、年に一度の大イベントが開かれ、大いに賑わっている。
「Jazz Promenada2009」と題される、そのイベントは、日本からはもちろん、海外からもJazzミュージシャンが集い、それこそ、一日中、市内の各ホール・イベント会場で何かしらJazzの演奏が楽しめる。
ここ最近、Jazzライブに足しげく通う私にとって、(今の若い人の表現を借りれば)「やばい」イベントなのである。
昨日は、今月から始めたヨガのレッスンで精神と肉体を「清めた」後、その足で会場に向かい、ほぼ半日、いろんな場所でそれこそJazzで「お腹がいっぱい」になるような気分が味わえた。
ヴィブラフォンとピアノのデュオから始まり、ブラジル出身のアーティトが奏でるサンバのリズム、アメリカからの参加したピアニストがリードする伝統派Jazz、そして、日本のJazzの重鎮が集ったオールスターセッションなどを満喫、本当に素晴らしい演奏ばかりだった。
なかでも、最後のセッションのSaxの音色はとても「艶やか」に感じ、会場を出るころはうっとりしてしまった。
やはり、たまにはこういう右脳の刺激は貴重である。
さて、本日の本題。
昨今の「ホットな」課題の一つに環境問題がある。
鳩山総理の国連の演説で、温暖化ガスを2020年までに1990年比で25%削減する中期目標を表明したのは記憶に新しい。
読売新聞によれば、国民の7割以上がこの表明に賛成の意向を示したというが、これに対し、産業界の反応はやや冷やかだ。
いまのところ、7日に経済同友会が賛同の意を表明した以外、反対と慎重な姿勢を表明するほうが多い。
こちらの以前のBlogでもお伝えしたが、この課題について話す経団連の御手洗会長の表情はとても堅く、バブル後に日本経済をけん引してきた会社のトップとは思えないほどだ。
この背後には、温暖化ガス削減の取り組みが企業に大きな負担がある。
特に日本は輸出主導の製造業がけん引する産業構造なので、工場などで排出される温暖化ガスの取り扱いは、極めてSensitiveな課題と言わざるを得ない。
しかし、だからこそ、前向きに取り組む価値があるという見方もあるはずで、その辺は先の経済同友会の会長 桜井氏が会長を務めるリコーや、2日の会見でハイブリッド車の供給などを通じて積極的に温暖化ガス削減に取り組むことを表明したトヨタ自動車などの姿勢をみると、明るい材料もあるのも確かだ。
確かに、当初、企業側は大きな負担を強いられるのだろうが、その取り組みは最終的には環境意識の高い消費者から支持されるはずだ。
また、CSRの観点で投資先を選別する投資ファンドもこれまでになく、増えてきているので、投資家からの支持もほぼ間違いないだろう。
だから、もっと地球温暖化に積極的に賛同の意を示す企業、及び経営者が出しきて欲しいと強く思っているのだが、世界には既にトップ自らが旗を振って積極的に取り組んでいる会社もある。
メディアや航空会社、鉄道など参加に幅広い事業を持つ、Virgin Groupはひとつのベンチマークになるだろう。
今、そのVirginを率いるトップ Richard Branson氏の著書「
僕たちに不可能はない」を読んでいるが、その本では、Branson氏が提唱している『Gaia Capitalism』というコンセプトが紹介されている。
一言でいえば、自社の事業の発展と環境問題を両立させようというコンセプトなのだが、2006年にAl Gore氏のプレゼンで環境問題に「目覚めた」Branson氏が、自社グループで何ができるか検討を重ねて打ち出したひとつの方向性である。
本のなかでは、Branson氏は以下のように述べている。
「この名前(=Gaia Capitalism)の下にベンチャー・キャピタル的ビジネス手法によって、今後10年間、Virginが正々堂々お金を稼ぎながら世の中に本当の変化をもたらすと信じている」
航空事業などを傘下に収めるVirginにとっても、少なからず、負担を強いられる課題であるはずなのだが、Branson氏の想いは相当なものだ。
なんでも、2004年から2006年の間にVirginが支払う航空燃料は5億ドル(当時のレートで約520億円)も上昇していたそうで、そういったコスト要因の解決という意味合いもあるようだ。
例えば、航空滑走路において一部飛行機を特殊車両でけん引することで燃料代を削減する案や代替エネルギーの研究なども提唱している。
結果的に具体策としては、温暖化問題の解決につながるアイディアに賞金を出すような、先にコメントにもあるベンチャー・ファンドの創設に結びついた。
様々な具体策のひとつひとつについての是非はあるだろうが、最も大事なことは、企業が、特にそのトップ自らが環境問題の重要性を理解し、Sustainableな社会の実現に向けて取り組むことである。
引退を目前に、花道を飾りたいトップでは無理かなぁとは思いつつも、先のBranson氏も来年は還暦を迎える(イギリスにはそういう考え方はない?)。
その氏がここまで情熱を燃やすのだから、年齢は関係ないはずだ。
要は、課題に取り組む意思(Intent)と、状況変化に応じてプライオリティを置き換えられる柔軟さ(Flexibility)である。
早く産業界版「鳩山イニシアティブ」を打ち出す気概に満ちた日本の経営者が出てきてほしいものである。
K
「Jazz Promenada2009」と題される、そのイベントは、日本からはもちろん、海外からもJazzミュージシャンが集い、それこそ、一日中、市内の各ホール・イベント会場で何かしらJazzの演奏が楽しめる。
ここ最近、Jazzライブに足しげく通う私にとって、(今の若い人の表現を借りれば)「やばい」イベントなのである。
昨日は、今月から始めたヨガのレッスンで精神と肉体を「清めた」後、その足で会場に向かい、ほぼ半日、いろんな場所でそれこそJazzで「お腹がいっぱい」になるような気分が味わえた。
ヴィブラフォンとピアノのデュオから始まり、ブラジル出身のアーティトが奏でるサンバのリズム、アメリカからの参加したピアニストがリードする伝統派Jazz、そして、日本のJazzの重鎮が集ったオールスターセッションなどを満喫、本当に素晴らしい演奏ばかりだった。
なかでも、最後のセッションのSaxの音色はとても「艶やか」に感じ、会場を出るころはうっとりしてしまった。
やはり、たまにはこういう右脳の刺激は貴重である。
さて、本日の本題。
昨今の「ホットな」課題の一つに環境問題がある。
鳩山総理の国連の演説で、温暖化ガスを2020年までに1990年比で25%削減する中期目標を表明したのは記憶に新しい。
読売新聞によれば、国民の7割以上がこの表明に賛成の意向を示したというが、これに対し、産業界の反応はやや冷やかだ。
いまのところ、7日に経済同友会が賛同の意を表明した以外、反対と慎重な姿勢を表明するほうが多い。
こちらの以前のBlogでもお伝えしたが、この課題について話す経団連の御手洗会長の表情はとても堅く、バブル後に日本経済をけん引してきた会社のトップとは思えないほどだ。
この背後には、温暖化ガス削減の取り組みが企業に大きな負担がある。
特に日本は輸出主導の製造業がけん引する産業構造なので、工場などで排出される温暖化ガスの取り扱いは、極めてSensitiveな課題と言わざるを得ない。
しかし、だからこそ、前向きに取り組む価値があるという見方もあるはずで、その辺は先の経済同友会の会長 桜井氏が会長を務めるリコーや、2日の会見でハイブリッド車の供給などを通じて積極的に温暖化ガス削減に取り組むことを表明したトヨタ自動車などの姿勢をみると、明るい材料もあるのも確かだ。
確かに、当初、企業側は大きな負担を強いられるのだろうが、その取り組みは最終的には環境意識の高い消費者から支持されるはずだ。
また、CSRの観点で投資先を選別する投資ファンドもこれまでになく、増えてきているので、投資家からの支持もほぼ間違いないだろう。
だから、もっと地球温暖化に積極的に賛同の意を示す企業、及び経営者が出しきて欲しいと強く思っているのだが、世界には既にトップ自らが旗を振って積極的に取り組んでいる会社もある。
メディアや航空会社、鉄道など参加に幅広い事業を持つ、Virgin Groupはひとつのベンチマークになるだろう。
今、そのVirginを率いるトップ Richard Branson氏の著書「
僕たちに不可能はない」を読んでいるが、その本では、Branson氏が提唱している『Gaia Capitalism』というコンセプトが紹介されている。
一言でいえば、自社の事業の発展と環境問題を両立させようというコンセプトなのだが、2006年にAl Gore氏のプレゼンで環境問題に「目覚めた」Branson氏が、自社グループで何ができるか検討を重ねて打ち出したひとつの方向性である。
本のなかでは、Branson氏は以下のように述べている。
「この名前(=Gaia Capitalism)の下にベンチャー・キャピタル的ビジネス手法によって、今後10年間、Virginが正々堂々お金を稼ぎながら世の中に本当の変化をもたらすと信じている」
航空事業などを傘下に収めるVirginにとっても、少なからず、負担を強いられる課題であるはずなのだが、Branson氏の想いは相当なものだ。
なんでも、2004年から2006年の間にVirginが支払う航空燃料は5億ドル(当時のレートで約520億円)も上昇していたそうで、そういったコスト要因の解決という意味合いもあるようだ。
例えば、航空滑走路において一部飛行機を特殊車両でけん引することで燃料代を削減する案や代替エネルギーの研究なども提唱している。
結果的に具体策としては、温暖化問題の解決につながるアイディアに賞金を出すような、先にコメントにもあるベンチャー・ファンドの創設に結びついた。
様々な具体策のひとつひとつについての是非はあるだろうが、最も大事なことは、企業が、特にそのトップ自らが環境問題の重要性を理解し、Sustainableな社会の実現に向けて取り組むことである。
引退を目前に、花道を飾りたいトップでは無理かなぁとは思いつつも、先のBranson氏も来年は還暦を迎える(イギリスにはそういう考え方はない?)。
その氏がここまで情熱を燃やすのだから、年齢は関係ないはずだ。
要は、課題に取り組む意思(Intent)と、状況変化に応じてプライオリティを置き換えられる柔軟さ(Flexibility)である。
早く産業界版「鳩山イニシアティブ」を打ち出す気概に満ちた日本の経営者が出てきてほしいものである。
K
2009年10月4日日曜日
会社の「年齢」とこれからの産業トレンド
未だ暑さを感じるものの、朝や晩は涼しくなり、季節の変わり目を感じる。
なお、昨日は中秋の名月とのことで、非常に綺麗な月が見られる夜だった。
そんななか、最近、週末は恒例になってきているJazzの鑑賞も、一風変わったところがいいと思い、昔の外国人邸宅の洋館で行われたコンサートに行ってきた。
その名も「酒と薔薇の日々 第一夜」。
会場となったベーリック・ホール(The Berrick Hall)という洋館は、以前のイギリス人貿易商 B.R.べリックの邸宅として建設されたもので、現在、横浜市認定歴史的建造物になっており、普段は、一般にも公開されている。
そのリビング・ルームでコンサートが開かれたのだが、まず、入口となっている門扉からの眺める、ライトアップされた建物自体が幻想的で、入った瞬間に日常を抜け出すような感覚になった。

また、そんな素敵な場所で奏でるJazzの演奏もたまらなく魅力的で、スタンダード曲に加え、「天城越え」、「青葉城恋歌」のJazzのアレンジ・バージョンや「月夜野」といったオリジナル曲まで、大変、素晴らしい演奏だった。
MNGというグループの演奏だったが、なんでも先月中旬で行った仙台のライブも、大変好評だったそうだが、それも十分うなずけるものだった。

また、途中の休憩時間でもてなされた軽食やワインもスタッフの方々の気遣いが感じられた。
素敵な講演だったので、次回の24日に行われる、「第2夜」も参加してみたいと思う。
お近くにお住まいの方がいらっしゃったら、参加されることをお勧めする。
さて、本題。
先週、日本とアメリカでの失業率が発表された。
日本の8月の失業率が5.5%、アメリカの9月の失業率は9.8%と、雇用環境の悪化を改めて感じさせるものだった。
一方、政府と各省庁の間では、今年度の補正予算の編成について調整が行われているが、各省庁間での予算削減のテーマは無駄な公共事業の削減であるため、今後、少なくとも半年間は、政府投資による企業業績への貢献は限定されたものになるだろう。
だから、企業は将来の業績不安から採用を手控え、深刻な場合は、社員をさらに解雇する可能性すらあり、そのため、賃金は上がらず、結果として、消費は上向かず、モノの値段も上がらない、という完全なデフレ状況に突入していると言える。
だが、こんななか、業績を上向かせている会社がある。
その代表例が「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングだ。
昨日の日経新聞によれば、9月の既存店の売上高は前年同月比31.6%とのことで、伊勢丹や松坂屋といった、マイナス成長だった百貨店業界を大きく引き離している。
さらに驚かされるのは、売上アップや来店客数のアップもさることながら、客単価が7.8%伸びているということだ。
低価格の衣料品を取り扱う業態であることを考えると、なおさらその凄さが際立つ。
そんなユニクロは、今月のパリの基幹店のオープンに加え、都心でも大型店を次々に出店する計画を発表している。
これら一連の業績好転は、今の世の中の景気の影響が後押ししているのは間違いないだろう。
昨年まで、百貨店で買い物をしていたが、今年はユニクロで、という方もいらっしゃるのではないか。
(現に私もその一人??)
実際に失業された方や、働いていらっしゃる方でも将来の失業不安や、給与ダウンという現実に直面すると、嫌が応にも財布のヒモは堅くなる。
そんな荒んだ消費マインドをやさしく微笑んで迎えてくれているのが、こういう企業なのだろう。
それでは、こういった企業の成長は一過性のものなのだろうか。
もちろん、確実なことはいえないが、私は、ファーストリテイリングのような企業は長期的成長トレンドを描きつつあると考えている。
先週、日経ヴェリタスという金融専門誌が「診断『会社の年齢』」という特集をおこなっていた。
これは企業の売上成長率や企業の収益率、株価などを使って算出した指標を、人間の年齢に置き換えたもので、ファーストリテイリングのようなSPA(製造小売り)業態が押し並べて、20代後半30代前半と診断されたのを見て、妙に納得してしまった。
(ちなみにファーストリテイリングは27.9才!)
ヤフーやカカクコムのようなネット企業は20代前半、自動車が40歳前後、電機が40代半ばから50代といったように、まさしく日本の産業の実態を端的に表しているようだ。
身近に接する各社の状況などを想像すると、なんとなく理解できる気がするのではないだろうか。
異なる側面から眺めると、さらに理解を深められる。
今、再建問題で揺れている日本航空や、海の向こうで一足先に再建に目星をつけたGMなどは、業績不振のみが再建の重石になったわけではない。
それらの会社は、いわゆる先輩社員達の年金などが負債として重くのしかかっていたのだ。
一方、「20代」企業は会社年齢も若いが、スタッフも若い。
年金などを心配するのはまだまだ先のことなので、そういった面からも事業リスクが少ない。
事業の歴史が浅いという決定的な理由もあるが、結局、企業が継続して成長するには、ある一定の新入社員の採用枠は維持して、常にスタッフの循環を行うことが必要という証左ともいえる。
単純に平均年齢を若く保つというためだけでなく、「新鮮な」事業を維持するという意味でも重要なのだろう。
こういったことが一過性にならず、「トレンドを作る」という見方につながっているのだが、日本では、静かに、でも、確実に産業転換が行われているのではないだろうか。
成長ばかりがいいことではないだろうが、若い世代が力を存分に発揮できるような、活力ある社会にはなって欲しいと想いに耽る、中秋の名月であった。
K
なお、昨日は中秋の名月とのことで、非常に綺麗な月が見られる夜だった。
そんななか、最近、週末は恒例になってきているJazzの鑑賞も、一風変わったところがいいと思い、昔の外国人邸宅の洋館で行われたコンサートに行ってきた。
その名も「酒と薔薇の日々 第一夜」。
会場となったベーリック・ホール(The Berrick Hall)という洋館は、以前のイギリス人貿易商 B.R.べリックの邸宅として建設されたもので、現在、横浜市認定歴史的建造物になっており、普段は、一般にも公開されている。
そのリビング・ルームでコンサートが開かれたのだが、まず、入口となっている門扉からの眺める、ライトアップされた建物自体が幻想的で、入った瞬間に日常を抜け出すような感覚になった。
また、そんな素敵な場所で奏でるJazzの演奏もたまらなく魅力的で、スタンダード曲に加え、「天城越え」、「青葉城恋歌」のJazzのアレンジ・バージョンや「月夜野」といったオリジナル曲まで、大変、素晴らしい演奏だった。
MNGというグループの演奏だったが、なんでも先月中旬で行った仙台のライブも、大変好評だったそうだが、それも十分うなずけるものだった。
また、途中の休憩時間でもてなされた軽食やワインもスタッフの方々の気遣いが感じられた。
素敵な講演だったので、次回の24日に行われる、「第2夜」も参加してみたいと思う。
お近くにお住まいの方がいらっしゃったら、参加されることをお勧めする。
さて、本題。
先週、日本とアメリカでの失業率が発表された。
日本の8月の失業率が5.5%、アメリカの9月の失業率は9.8%と、雇用環境の悪化を改めて感じさせるものだった。
一方、政府と各省庁の間では、今年度の補正予算の編成について調整が行われているが、各省庁間での予算削減のテーマは無駄な公共事業の削減であるため、今後、少なくとも半年間は、政府投資による企業業績への貢献は限定されたものになるだろう。
だから、企業は将来の業績不安から採用を手控え、深刻な場合は、社員をさらに解雇する可能性すらあり、そのため、賃金は上がらず、結果として、消費は上向かず、モノの値段も上がらない、という完全なデフレ状況に突入していると言える。
だが、こんななか、業績を上向かせている会社がある。
その代表例が「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングだ。
昨日の日経新聞によれば、9月の既存店の売上高は前年同月比31.6%とのことで、伊勢丹や松坂屋といった、マイナス成長だった百貨店業界を大きく引き離している。
さらに驚かされるのは、売上アップや来店客数のアップもさることながら、客単価が7.8%伸びているということだ。
低価格の衣料品を取り扱う業態であることを考えると、なおさらその凄さが際立つ。
そんなユニクロは、今月のパリの基幹店のオープンに加え、都心でも大型店を次々に出店する計画を発表している。
これら一連の業績好転は、今の世の中の景気の影響が後押ししているのは間違いないだろう。
昨年まで、百貨店で買い物をしていたが、今年はユニクロで、という方もいらっしゃるのではないか。
(現に私もその一人??)
実際に失業された方や、働いていらっしゃる方でも将来の失業不安や、給与ダウンという現実に直面すると、嫌が応にも財布のヒモは堅くなる。
そんな荒んだ消費マインドをやさしく微笑んで迎えてくれているのが、こういう企業なのだろう。
それでは、こういった企業の成長は一過性のものなのだろうか。
もちろん、確実なことはいえないが、私は、ファーストリテイリングのような企業は長期的成長トレンドを描きつつあると考えている。
先週、日経ヴェリタスという金融専門誌が「診断『会社の年齢』」という特集をおこなっていた。
これは企業の売上成長率や企業の収益率、株価などを使って算出した指標を、人間の年齢に置き換えたもので、ファーストリテイリングのようなSPA(製造小売り)業態が押し並べて、20代後半30代前半と診断されたのを見て、妙に納得してしまった。
(ちなみにファーストリテイリングは27.9才!)
ヤフーやカカクコムのようなネット企業は20代前半、自動車が40歳前後、電機が40代半ばから50代といったように、まさしく日本の産業の実態を端的に表しているようだ。
身近に接する各社の状況などを想像すると、なんとなく理解できる気がするのではないだろうか。
異なる側面から眺めると、さらに理解を深められる。
今、再建問題で揺れている日本航空や、海の向こうで一足先に再建に目星をつけたGMなどは、業績不振のみが再建の重石になったわけではない。
それらの会社は、いわゆる先輩社員達の年金などが負債として重くのしかかっていたのだ。
一方、「20代」企業は会社年齢も若いが、スタッフも若い。
年金などを心配するのはまだまだ先のことなので、そういった面からも事業リスクが少ない。
事業の歴史が浅いという決定的な理由もあるが、結局、企業が継続して成長するには、ある一定の新入社員の採用枠は維持して、常にスタッフの循環を行うことが必要という証左ともいえる。
単純に平均年齢を若く保つというためだけでなく、「新鮮な」事業を維持するという意味でも重要なのだろう。
こういったことが一過性にならず、「トレンドを作る」という見方につながっているのだが、日本では、静かに、でも、確実に産業転換が行われているのではないだろうか。
成長ばかりがいいことではないだろうが、若い世代が力を存分に発揮できるような、活力ある社会にはなって欲しいと想いに耽る、中秋の名月であった。
K
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