2009年11月29日日曜日

スペシャルドラマ『坂の上の雲』がいよいよスタート!

ドラマ『坂の上の雲』が今日から開始される。

本作品の原作者である司馬遼太郎氏から著作権を継承された妻の福田みどりさんからドラマ化の許諾を得て、NHKがドラマ化の発表を行ったのが2003年1月。

当初、2006年度の放送予定だったらしいが、脚本を担当されていた野沢尚さんの自殺などにより放送が延期され、今日に至ったという背景がある。

そして、発表からおおよそ7年近くの年月が経った。。。


本作品については、造詣が深い。

社会人になって数年が経ってから原作を読み、深い感銘を受け、それ以降というもの、いろいろと影響を受けた。

原作の舞台である、中国・二百三高地や広島の海軍兵学校跡を訪れたりもしたし、そして、これは偶然でだが、物語の主人公のひとりである、秋山真之氏が日本海軍の観戦武官として訪問していたアメリカ・フロリダ州タンパは、私が本格的なアメリカでの留学活動に備えるため、ホームステイをしていたところだったりする。

ちなみに、秋山真之氏は、日清・日露戦争に参戦、特に日露戦争で東郷平八郎の参謀役を務め、活躍されるわけだが、それ以前は、イギリスやアメリカに留学し、研究活動を行っていた。

秋山真之氏は、私のロールモデルの一人である、留学時、ハードな勉強にめげそうなときは、本棚に飾った秋山真之氏の写真を見て、自身を励ましたりしていた。


ただ、この作品は日本の近代の戦争史につながる舞台背景があるため、見解が分かれる作品でもある。

作者である司馬遼太郎氏ですら、「ミリタリズム(軍国主義)を鼓吹(こすい)しているように誤解される]」として、唯一映像化を拒んだ作品とされているし、訪問した二百三高地のガイドからは、長らく中国で原作本は発禁されていたと聞かされた。

しかも、ドラマが発表された2003年当時の政治や国際的な背景に加え、本作品をNHKが放映を企画するというあたり、政治利用という側面も感じなくはない。


しかしだ。

だからこそ、司馬氏が本作品を含め、歴史小説を仕上げた動機を忘れてはならないと思う。

司馬氏は、第二次世界大戦に参戦された経験を持つが、その時の経験を基に、そのような戦争を行う日本への疑問と、「昔の日本人はもっとましだったに違いない」という想いで執筆に取り組まれたと聞く。

そのような想いを持たれていた司馬氏がギリギリ取り組める年代はこの作品までというわけだが、見方を変えれば、本作品は、いわば、その後迎える大変な時代に対するアンチテーゼだったと推測されるわけで、決して、過去の戦争を礼讃する意図などはなかったと推測している。

小説では、その後続く、大正、昭和という時代に、軍部の、いわば暗部ともいえる部分をどう引きずるのかも考察できるので、日本の組織行動様式を知る格好の材料であり、これを「反面教師」として活かせる分野は、何も戦争に関する課題だけではないと考えている。

映像化にあたって、どの程度、そのような部分が描かれるのかはわからないが、いずれにしても、期待したい作品である。

K


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