前回までのブログのなかで、日本経済の現状、ならびに今後の予測を観察してきた。
結局、いまのままでは、雇用も生まれず、賃金は上がらず、価格下落のデフレ現象がダラダラと続き、企業業績の継続的な成長は見受けづらい状況であることを指摘した。
そういうなか、先週は、次の成長エンジンになりそうなトピックスがないか、意識的に各メディアを見てきた。
日経新聞は、「ニッポンの農力」というタイトルで特集を組み、次の成長産業のひとつの候補として、農業にフォーカスしていた。
中国での大胆な農業振興や、レストランを含む流通ニーズに対応した農作物作りや、耕作地の取り扱いの課題など、多方面にわたる側面から農業問題を取り扱っていた。
また、太陽光発電や電気自動車などのエネルギー関連のトピックスも引き続き、取り上げられている。
エコ住宅というコンセプトがにぎやかに取り上げられるなか、経済産業省は6日、家庭の太陽光発電で得た余剰電力を電力会社が買い取る新制度について、年内に開始する案を公表した。
また、三菱自動車は社長の直属組織として電気自動車事業の運営を手がける「EVビジネス本部」を新設すること、日産自動車は2010年後半に発売予定の電気自動車「リーフ」を発表した。
そして、これら2社に加え、富士重工業と東京電力は、EV普及に欠かせない急速充電設備の整備で協力すると正式発表を行った。
これらを後押しするように、地方自治体が相次いで、電気自動車を普及させる独自の施策に乗り出している。環境にやさしい車の拡大に一役買うことで、地域のイメージの向上につなげる、という。
東京都などが購入者や充電施設を設ける事業者に補助金を出すほか、京都府や京都市は観光客らが利用するレンタカーやタクシーへの導入も後押しする。
神奈川県の場合、補助額は1台につき上限69万~69万5000円。国の補助とあわせると230万~240万円程度で購入できる。2009年度は200台の助成を見込む。
環境問題への意識の高まりもあり、農業やエネルギー分野への注目度が高い。
特に資源に乏しい日本は、両分野は喫緊に解決すべき課題のはずであり、いままで「表舞台」で取り上げられなかったのが不思議なくらいである。
ただ、注意しなければならないのは、いずれもある意味で「インフラ」事業なので、基盤整備が整わない限り、飛躍的な発展も望みづらい。
よって、ボトム・アップで仕組みが出来上がるという性格のものではなく、トップ・ダウンで取り組むべき課題と思われるため、政治的課題として取り組むべきもののはずである。
日本の高度成長期には、国土の均等なる発展を掲げた「列島改造論」があり、大いに土木・建設業を盛り上げた。
地方を含む広域な経済インパクトという意味で旧建設省が主導した土木・建設事業の下支えは無視できない。
農業やエネルギーをその現代版として、国として「青写真」を掲げ、政治的アジェンダとして取り組むべきものだろう。
自民・民主各党でも、「環境にやさしい」といったトーンでこれらを取り組もうという意識は垣間見える。
ただ、どちらかといえば、いずれも総花的で、様々な課題を積み上げてマニュフェストとしている印象が拭えない。
子育て支援や雇用保障はもちろん大事。ただ、何を主要な政策課題に掲げて次の選挙までの4年間に政権政党として取り組むのかを問いたい。
誤解を恐れずにいえば、適切な生活保障に関する制度設計を行うのは当たり前のことで、それをあたかも政治的な政策課題のように語るのは、やや論点がズレているように思われる。
生活保障は必要だが、それだけでは雇用は生まれない。
成長エンジンとなる産業振興を行い、結果、雇用を生み出さなければならない。
今月末に選挙もあるので、まずは、政治への期待という観点から、今回のブログをまとめてみた。
いろんなご意見をお寄せいただきたい。
K
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