2008年10月19日日曜日

Dollar currency swaps and the influence on emerging currencies

米ドルは底堅さを見せている。

先週末と前週末のNYダウ、ナスダックと比較すると、

円/米ドル: +1%(ドル高)
NYダウ:  -4.75%
ナスダック: -3.75%

となり、昨今の景気見通しを考えれば、米ドルの動きはなかなか理解に苦しむところ。

この現象について、今週の「日経ヴェイタス」は「外国銀行のドル買い需要」と分析する。

その裏付として、

1) 日本株を売ってドルに戻す
2) (経営不安説が流れた)外国銀行がドル資金の調達目的でドルを買っている

としている。

ここでは、2)について注目してみたい。

ヴェリタスは、これまで外銀は円とドルの為替スワップを使ってドルを調達していたが、為替スワップ市場でのドル調達コストがリーマンの破綻後に2倍に膨らんだ結果、外銀が、直接、為替市場からドルを調達しており、それが結果的にドルの急落を阻んでいる、という。

ドル資産を持つ人には朗報のようだが、一方でドル以外の外国通貨を持つ人には、意外な落とし穴がありそうだ。高金利の有利性をうたい文句にしている、新興市場の通貨に影響を及ぼす可能性があるという指摘があるのだ。

17付Financial Times「Financial crisis stalks new victims」は、この課題に言及している。

連邦準備(銀行)と中央銀行の間で行われる無期限のドルの為替スワップは、超短期の資金需要を満たすためにスポット市場で直接ドルを調達したいという金融機関の負担を和らげ、通貨安定に寄与する、としているため、通貨スワップが有効でなくなった、とするヴェリタスの見立てと、やや異なる見解を示している。

しかし、より注目すべきは、東京三菱UFJ銀行のDerek Halpenny氏のコメントとして、紹介されている、次のコメントだ。

“In contrast, the lack of currency swaps put in place between the Federal Reserve and emerging market central banks has likely helped exacerbate the pick up in emerging market currency volatility,”

ドル需要を満たすドルの為替スワップも、結果として、新興国通貨に対するドルの為替スワップ分が不足することを予測しており、それが新興国の為替のボラティリティ(=リスク)を膨らませてしまうだろう、としている点だ。

米ドルの安定化とは裏腹に、昨今、FXや外貨預金で流行っている、新興国通貨(トルコ・リラ、南アフリカ・ランドなど)を持つ人は注意が必要だ。

K

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