今の住居に来る前も歩けるくらいの距離に映画館はあったのだが、ここ1カ月の映画鑑賞の程のペースではなかった。
何より、土曜の夜のレイト・ショウがいい。
場所が近いので最終電車を気にしなくていいし、お客さんが少なくて空いている、そして、若干ではあるが料金も安い。それに公開終了間際だと話題作もレイト・ショウになる。
そういう理由もあって、昨日の晩、「ハゲタカ」を観に行った。
上映時間に余裕があると思い、食べ物を映画館に持ち込み、入場したものの、既に予告編が始まっており、両側の席に囲まれながら(おばさま方に・・・)、「お好み焼き」を頬張る様はなんとも間抜けではあったが・・・
そんななか、映画「ハゲタカ」は始まったが、これが面白かった。
正直なところ、よく書けた脚本だと思った。
「ハゲタカ」は金融を題材にした人間模様である。
そのなかで描かれる人間模様は、なかなか秀逸だと思う。
人間模様は、レベル感を別として、登場人物の「立ち位置」に違いがないと成り立たない。
だから、ドラマの善し悪しは、その「立ち位置」の置き方、それを生み出す環境や背景、登場人物の性格の表現さ加減、などで変わるのではないか。
観る人の共感を得るには、その時々の時代背景が微妙に織り込まれていなくてはならず、時代背景の切り取り方を間違えると、共感が得られなくなる。
そういう意味では、映画「ハゲタカ」の舞台設定と人物設定は絶妙だった。
ファンド vs. 事業会社、経営者 vs. 派遣労働者、日本 vs. 中国、シニア層 vs. 若者層…いずれも今の経済環境の観点でSensitiveなものばかりである。
何はともあれ、日本のメディアで、こういう話題を臆することなく、取り上げることに敬意を表したい。
漠然と意識している課題認識に、なんらかの糸口を与えるものになると思うからだ。
映画のなかで重要な役割を担う「赤いハゲタカ」劉一華は、ある派遣労働者に、これまでの雇用環境を守らなければならないシニアのために、会社は若者に向けて派遣を取り入れた、というようなことを言う。
これを聞いた瞬間、ようやくこういう現実が、メディアで取り上げられるようになったか、と感慨深くなった。
私がそういった認識を知ったのは、産業再生機構のCOOだった冨山さんの講演を聞いた2005年だ。
それ以来、いろいろなニュースで見聞きしながら、また、自分の会社で経験しながら、想いを強くしているのは、今の日本の大きな課題の一つが「世代間格差」だということだ。
よき父、よき管理者、よき親戚たる、シニア層は、自分の立場を守らなければならないので、そんな格差を何も好き好んで話題には出さない。
それが色濃く反映しているのが政治の世界だろう。
一方で、そんな世代が旧態依然として居残っていることを知らされていない、20代~30代前半の世代は、今の厳しい雇用環境が自分にのしかかる試練としてとらえているかもしれない。
でも、その試練は人為的なものである。シニアの雇用を守るために、若者層の雇用環境が厳しくなっているのである。
こういった話題は、あまりマスコミでは取り上げられなかったように思うが、だからこそ、金融モノに収まらず、そういった課題にまで言及する包含した、映画「ハゲタカ」はなかなか秀逸だと思うのだ。
まだ、上映期間はあるようなので、興味を持たれた方は、ぜひ、ご鑑賞いただければ幸いである。
K
NHK DVD ハゲタカ DVD-BOX / 大森南朋
ハゲタカ(上)
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ハゲタカ(2 上)
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ハゲタカ サウンドトラック
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