2009年1月17日土曜日

China to become third largest economy

相変わらず不景気なニュースが多いなか、今週の歴史的エポックなニュースといえば、中国のGDPがドイツを抜き、3位になったということだろう。

14日、中国の国家統計局(National Bureau of Statistics)が、2007年のGDPについて昨年4月の公表値より3.1%多い25兆7,306億元に上方修正を行い、GDPランキングが改定され、ドイツを抜く結果となった。WTO加盟以来、存在感を増している中国であるが、その経済レベルが裏付けられた格好だ。

グラフ1(IMFのデータより筆者が独自に作成)



Goldman Sachsの予測によれば、2040年頃までには、中国経済はアメリカを抜くとし、さらに、Economist Intelligence Unitは、各国での収入により実際の購買力を反映させて価格差を調整する、消費力購買力平価(purchasing power parity)を用いると、2017年(10年もない!)には中国がアメリカを抜く見込みであるという。日本がかすんでしまうくらいの勢いである。

ただ、こんな中国にも弱みがないわけではない。

日経新聞などでは、そもそも、今回の改定の下になった、中国 国家統計局の集計に対する信頼度そのものを指摘していたが、それを言い出しても本質的ではないので、まず指摘されるのは、一人当たりのGDP(GDP per capita)の低さがあげられるだろう。

1月14日付 Financial Timesの「China becomes third largest economy」(Geoff Dyer)という記事では、世界銀行のデータを引用し、中国の一人当たりGDPは2007年で$5,370と、エジプトやエル・サルバドル、アルマニアよりも低く、ランクは122位と指摘している。

Despite rapid growth and hundreds of millions of people lifted out of poverty, China remains relatively poor. In the World Bank’s rankings of GDP per capita for 2007 using purchasing power parity, China took 122nd place at $5,370, behind Egypt, El Salvador and Armenia.

グラフ2(前出と同様IMFのデータから筆者作成)


注釈: 上記データによれば、中国は5,325インターナショナルドルで100位。ちなみに、日本は、33,596インターナショナルドルで22位。日本の意外なほどの順位の低さは、格差社会の表れか。


また、以下のWEBでは、世界地図で一人当たりGDPの比較を行っている。

http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/8/87/GDP_PPP_per_capita_2007_IMF.png

そのような実態を踏まえ、日経新聞によれば、「中国は自らが「発展途上国」であるとの立場を変えていない」という。

また、先のFinancial Timesの記事では、一人っ子政策の影響による急激な老齢化や環境破壊への費用面の課題の指摘もされている。

In the medium-term, economists say that there is plenty of scope for China to maintain relatively high growth rates. Urbanisation and technology catch-up have decades to run. But the outlook is complicated by a rapidly ageing population and costs of damage to the environment.

万事がすべて順調というわけにはいかないようだが、そんな上り調子の中国と日本はどう付き合えばいいのか。

ドイチェ・アセット・マネジメントで中小型株を運用する越智明彦マネジングディレクターは、昨年12月19日のブルーバーグとのインタビューのなかで、以下のように述べている。

「金融危機による実体経済の悪化を受け、「世界各国が同時に財政出動するのは見たことがない。このインパクトが需要サイドに与える影響がサプライズとなる可能性がある」(同氏)中、特に中国の財政出動の規模は他国にないほど大きく、「その効果によって、世界経済は09年前半に底打ちするかもしれない」(同氏)と期待する。

中国が11月9日に発表した景気刺激策の総額は4兆元(約57兆5300億円)。昨年の国内総生産(GDP)の5分の1に相当するこの額を、2010年末までに使う計画だ。不良債権の根源地である欧米の需要は期待できないが、中国が年8%の経済成長を維持していけば世界経済の下支えが予想される」
(詳細はWEBにて: http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003011&sid=axgPqLzbNhVA&refer=jp_asia#)

このWEBでは紹介していないが、Bloombergのテレビ放送のほうでは、日本のビジネスモデルを中国に輸出すべしと述べ、たとえば、楽天の中国進出や、日本ですぐれたオペレーションを行っている、レストラーン・チェーンの進出などに期待していた。

これまで、どちらかといえば、「世界の工場」をあてにした第2次産業である製造業の進出が目立っていたが、これからは、サービス業である、第3次産業の進出が進むのであろうか。注目されるところである。

K

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