2008年12月7日日曜日

This week's policy rate announcement

結果的に今週発表されたオーストラリア準備銀行、ニュージーランド準備銀行、ECB、イングランド中央銀行の政策金利発表は、想定の範囲内という結果だったであろうか。

12月2日:オーストラリア・ドル- 4.25%(1.0%利下げ)
12月4日:ニュージーランド・ドル-5.00%(1.5%利下げ)
同:  ユーロ-2.50%(0.75%利下げ)
同:  ポンド-2.00%(1.0%利下げ)

その証拠に通貨の変動は思ったほど大きくなく、ボックス圏内の動きという印象で、終わってみれば、ポンド以外は先週の終値とそれほど変わってはいない。

オーストラリア・ドル


ニュージーランド・ドル


ユーロ


ポンド


また、12/5の日経新聞では、特にオセアニアの2通貨について楽観的な見通しを示しており、一段の利下げも見通されるものの、その後、様子見に転じ、反発の可能性すらもあるという。依然、高水準の金利レベルであるがために、両通貨に投資を行っている人も少なくないだろうから、こうした見方は歓迎すべきところであろう。

以下、その記事の抜粋である。

外国為替市場でオーストラリア・ドルとニュージーランド(NZ)ドルの売り圧力が和らいできた。両国は相次ぎ大幅な利下げに踏み切ったが、通貨はむしろ買い戻された。金融当局が政策金利は緩和的な水準になってきたとの見解を示し、市場で大幅な利下げ観測が後退したためだ。これまでの金融緩和や通貨安による景気の下支えを期待する声も出ている。

 ▼…「金融政策は緩和的な水準に達した」。NZ準備銀行(中央銀行)は四日、一・五%の大幅利下げを実施した。同中銀のボラード総裁は追加利下げに含みを持たせつつ、政策金利水準についてこう言及した。二日に一%の利下げを決めた豪準備銀行(中銀)のスティーブンス総裁も自国の金利水準に同じような見方を示している。
 「オセアニア圏は緊急利下げモードを解除しつつある」(野村証券金融経済研究所)。NZ中銀は七月から急ピッチで金融緩和を実施。八・二五%あった政策金利は五%になり、利下げ幅は合計で三・二 五%に達した。豪州中銀も九月から政策金利を三%引き下げ、四・二五%とした。

 ▼…世界経済の減速のあおりで両国とも金融政策はなお緩和方向とみられるが、市場ではあと一%程度の利下げを実施した後は様子見に転じるとの予想が浮上している。米国のようにゼロ金利に追い込まれるとの見方はない。
  「豪州とNZの利下げは為替相場にかなり織り込まれ、目先は反発の可能性もある」(ロイヤルバンク・オブ・スコットランドの山本雅文氏)。豪ドルもNZドルも利下げ直後は買いが優勢となった。豪ドルは一豪ドル=六〇円前後で急落に歯止めがかかり、NZドルも一NZドル=四九円程度で踏みとどまっている。四日の利下げ後に通貨安が進んだスウェーデンとは対照的だ。

 ▼…新光証券の林秀毅氏は「これまでの利下げが豪州の内需に効いてくる」と指摘する。 豪州経済は七―九月期もプラス成長を保ち、十月の小売売上高は市場の予想に反して増加した。NZでは住宅ローン申請件数の減少幅が縮小傾向にあるなど、景気指標が悪化一辺倒の日米欧とは状況がやや異なる。急速に進んだ通貨安も、輸出に追い風となる。景気刺激策の実施に伴い、追加的な財政出動も見込まれている。

 世界経済や金融情勢は予断を許さず、市場が混乱すれば豪ドルやNZドルは再び下落基調になる可能性も否定できない。ただ、このところ株価も 急激な下落に歯止めがかかるなど、市場心理は少し変わりつつある。二〇〇〇年のITバブル崩壊後の金融緩和局面も、豪州とNZはいち早く脱した。オセアニア地域の金融政策スタンスの変化は、世界の先取りになるかもしれない。(M)
(「豪州・NZ、通貨売り圧力が緩和、大幅利下げ観測後退で(マーケットウオッチャー)」2008/12/05, 日本経済新聞 朝刊)

オセアニアの楽観的な見通しの一方で、米統計の発表は悪い内容が相次いだ。

12/3: 11月の非農業部門の全米雇用者数(ADP社調査)-前月比25万人減

同: 米サプライマネジメント協会の非製造業景況感指数-37.3(前月比7.1ポイント減)/好不況の分かれ目である50を二カ月連続で割り込み、市場の事前予想(42.0)も大きく下回った。

同: 地区連銀経済報告(ベージュブック) -「経済全般は全地域で弱まった」と判断。

12/5: 米11月の雇用統計-失業率 6.7%/前月比 53.3万人減少

これを受けて、円に対する米ドルは徐々に弱含んで推移している。ただ、市場のなかには、この円高傾向は長くは続かず、一定レベルで留まると予測している声もある。決算による米企業の海外拠点から本社への送金や、円の買い持ちの手仕舞いなどが予想されるからだ。ただ、これもクリスマス休暇に入る、22日にはおさまり、そこから、円高に再び、向かうという予測だ。

米ドルは、しばらく予断が許さない。

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