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2008年12月14日日曜日

US dollar

米ドルの動きから目が離せない、と先週のブログでお伝えした。先週の動きは、結果的にそれを裏付け、金曜日にはドルは円に対して値を下げ、1ドル90円を割るところまできた。



一体、どうなっているのか?

まず、先週発表されたアメリカの各種統計結果の悪化がその原因と指摘されている。具体的には、貿易赤字の拡大(10月に572億ドル)、失業率の悪化、家計における資産価値の低下(4.7%ダウンで4四半期連続の低下)、担保を元にした借入の記録的な低下、などだ。

The dollar fell sharply on Thursday – and gold rose – as a surprise deterioration in the US trade balance undermined a key prop for the US currency and economic growth.
The figures, which showed the trade deficit widening to $57.2bn in October in spite of lower fuel prices, came as analysts increased sharply their estimate of the pace of economic contraction in the US this quarter. Macroeconomic Advisers, a consultancy firm, estimated that the US is on track for an annualised decline of 6.6 per cent.

Fresh data on unemployment claims also suggested there was no respite in the deteriorating jobs market. Meanwhile, a Federal Reserve survey showed US household net worth decreased by 4.7 per cent in the third quarter, the fourth consecutive quarterly decline. US mortgage borrowing fell at the fastest pace on record.

(The Financial Times, “US dollar falls on poor trade figures”, December 11 2008, Krishna Guha, Michael Mackenzie, Norma Cohen)

こういった金融を取り巻く厳しい環境のために、安全資産に資金を移動する志向が強まり、ついに米国短期国債はマイナスになったという。

 九日のニューヨーク債券市場で代表的な短期国債である米財務省証券(TB)三カ月物の利回りが史上初とみられるマイナス圏に低下した。金融危機や景気減速を背景に「少しでも安全な資産にお金を投じたい」と考える投資家が増えているため。自ら金利を払って国にお金を預けるという異例の事態になっている。

 利回り低下の主因は、投資家がリスクの高い証券を敬遠していること。現金は保管や盗難対策にコストがかかり、預金も銀行に破綻リスクがある。半面、国が相手のTBはお金を取り戻せなくなる可能性が限りなく低い。マネーが消去法的に「安全資産」のTBへ流入、利回りを押し下げた。

 みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「投資家は手数料を払い貸金庫に預ける感覚で買っている」と指摘。日本も信用不安が高まった一九九八年十一月に割引短期国債三カ月物と六カ月物の利回りがマイナスになった。
(「金融危機で日米の金利異変――米短期国債の利回りマイナス」、2008/12/11, 日本経済新聞)

国債が貸金庫代りになるという見立てであるが、これは、国債の価格上昇も意味する。

元に戻るが、米ドルの下落は、3大自動車メーカーの救済策が議会を通過しなかったのも大きな痛手であったに違いない。今回、議会をパスしなかったことで、今後の選択肢は限られ、Chapter11の可能性も出てきており、そのため、米ドルを買う理由が見当たらず、1ドル85円になる可能性も指摘されている。というのも、PRDC(Power Reverse Dual Currency bonds)といわれる、通貨のコール・オプションを組み合わせて円の上昇をリ・ヘッジする、リバースデュアルカレンシー債(発行と償還は円で、利払いが外貨で行われる債券)の一種が、1ドル90円の突破をきっかけに、85円、80円になるという。

The dollar slid to its lowest in 13 years against the yen on Friday as the US Senate failed to agree on a bailout for the three US automakers.
The dollar fell to as low as Y88.40 against the Japanese currency before stabilising at around Y89.38 in recent trading.

“It seems like they’ve all but given up,” said Yuji Saito, head of the FX group at Societe Generale in Tokyo. “The concern out there is what will happen now and the few choices that are left, which could include Chapter 11, so that leaves no reason for investors to buy dollars.”
There was a possibility that the yen could reach Y85 in New York trading time, he said.

(中略)

Societe Generale’s Mr Saito said that today’s sudden gains had been exacerbated by knock-outs for so-called power reverse dual currency bonds, which were triggered at Y90, with still more believed to be at Y85 and Y80, he said.
PRDCs are currency-linked bonds that need rehedging when the yen suddenly rises.
(“Dollar slides to 13-year low against the yen”, Lindsay Whipp, December 12 2008 )

このようななか、政府はどう立ち居ふるまうのか。

まず、日本政府であるが、財務省高官は状況次第で適切な処置を施すとし、中山財務大臣は、現段階での通貨への介入を否定している。

 Japan’s Ministry of Finance voiced concern over the sudden strength of the yen. Naoyuki Shinohara, vice finance minister for international affairs, said the currency moves were excessive and that he was concerned about it. He told reporters that the ministry would act “appropriately” depending on the situation.

 Shoichi Nakagawa, finance minister, said the ministry was not considering intervening at the moment, according to Dow Jones.
(“Dollar slides to 13-year low against the yen”, Lindsay Whipp, December 12 2008 )

また、米政府当局が、近々、発表される住宅ローン金利を下げるのではないか、との見方も紹介されている。
 
 Some analysts speculate that the US authorities could soon announce a plan to drive down mortgage rates, possibly involving banks issuing low-rate loans securitised by Fannie Mae and Freddie Mac and acquired by the Fed.
(The Financial Times, “US dollar falls on poor trade figures”, December 11 2008, Krishna Guha, Michael Mackenzie, Norma Cohen)

 今週は、FOMCが16日(火)に政策金利を発表する。
 
 このような環境であれば、金利引き下げを予想するほうが順当であろう。これはとりも直さず、米ドル下落につながるであろうから、先週末からの円高傾向は収まらないだろう。

 最近、読んだ松藤民輔氏の理論に基づけば、この金利低下は株式市況の悪化につながり、Dowの下落も予想される。五月雨式に日経平均も下げてしまうだろう。

  米政策金利低下→ドル安/円高、アメリカ市場の株価低下→日経平均の下落

というのが来週の動きか。日本の自動車、電機など輸出系企業は試練になりそうだ。

松藤氏のことは、また、別な機会にまとめたいと思う。

K

2008年12月7日日曜日

This week's policy rate announcement

結果的に今週発表されたオーストラリア準備銀行、ニュージーランド準備銀行、ECB、イングランド中央銀行の政策金利発表は、想定の範囲内という結果だったであろうか。

12月2日:オーストラリア・ドル- 4.25%(1.0%利下げ)
12月4日:ニュージーランド・ドル-5.00%(1.5%利下げ)
同:  ユーロ-2.50%(0.75%利下げ)
同:  ポンド-2.00%(1.0%利下げ)

その証拠に通貨の変動は思ったほど大きくなく、ボックス圏内の動きという印象で、終わってみれば、ポンド以外は先週の終値とそれほど変わってはいない。

オーストラリア・ドル


ニュージーランド・ドル


ユーロ


ポンド


また、12/5の日経新聞では、特にオセアニアの2通貨について楽観的な見通しを示しており、一段の利下げも見通されるものの、その後、様子見に転じ、反発の可能性すらもあるという。依然、高水準の金利レベルであるがために、両通貨に投資を行っている人も少なくないだろうから、こうした見方は歓迎すべきところであろう。

以下、その記事の抜粋である。

外国為替市場でオーストラリア・ドルとニュージーランド(NZ)ドルの売り圧力が和らいできた。両国は相次ぎ大幅な利下げに踏み切ったが、通貨はむしろ買い戻された。金融当局が政策金利は緩和的な水準になってきたとの見解を示し、市場で大幅な利下げ観測が後退したためだ。これまでの金融緩和や通貨安による景気の下支えを期待する声も出ている。

 ▼…「金融政策は緩和的な水準に達した」。NZ準備銀行(中央銀行)は四日、一・五%の大幅利下げを実施した。同中銀のボラード総裁は追加利下げに含みを持たせつつ、政策金利水準についてこう言及した。二日に一%の利下げを決めた豪準備銀行(中銀)のスティーブンス総裁も自国の金利水準に同じような見方を示している。
 「オセアニア圏は緊急利下げモードを解除しつつある」(野村証券金融経済研究所)。NZ中銀は七月から急ピッチで金融緩和を実施。八・二五%あった政策金利は五%になり、利下げ幅は合計で三・二 五%に達した。豪州中銀も九月から政策金利を三%引き下げ、四・二五%とした。

 ▼…世界経済の減速のあおりで両国とも金融政策はなお緩和方向とみられるが、市場ではあと一%程度の利下げを実施した後は様子見に転じるとの予想が浮上している。米国のようにゼロ金利に追い込まれるとの見方はない。
  「豪州とNZの利下げは為替相場にかなり織り込まれ、目先は反発の可能性もある」(ロイヤルバンク・オブ・スコットランドの山本雅文氏)。豪ドルもNZドルも利下げ直後は買いが優勢となった。豪ドルは一豪ドル=六〇円前後で急落に歯止めがかかり、NZドルも一NZドル=四九円程度で踏みとどまっている。四日の利下げ後に通貨安が進んだスウェーデンとは対照的だ。

 ▼…新光証券の林秀毅氏は「これまでの利下げが豪州の内需に効いてくる」と指摘する。 豪州経済は七―九月期もプラス成長を保ち、十月の小売売上高は市場の予想に反して増加した。NZでは住宅ローン申請件数の減少幅が縮小傾向にあるなど、景気指標が悪化一辺倒の日米欧とは状況がやや異なる。急速に進んだ通貨安も、輸出に追い風となる。景気刺激策の実施に伴い、追加的な財政出動も見込まれている。

 世界経済や金融情勢は予断を許さず、市場が混乱すれば豪ドルやNZドルは再び下落基調になる可能性も否定できない。ただ、このところ株価も 急激な下落に歯止めがかかるなど、市場心理は少し変わりつつある。二〇〇〇年のITバブル崩壊後の金融緩和局面も、豪州とNZはいち早く脱した。オセアニア地域の金融政策スタンスの変化は、世界の先取りになるかもしれない。(M)
(「豪州・NZ、通貨売り圧力が緩和、大幅利下げ観測後退で(マーケットウオッチャー)」2008/12/05, 日本経済新聞 朝刊)

オセアニアの楽観的な見通しの一方で、米統計の発表は悪い内容が相次いだ。

12/3: 11月の非農業部門の全米雇用者数(ADP社調査)-前月比25万人減

同: 米サプライマネジメント協会の非製造業景況感指数-37.3(前月比7.1ポイント減)/好不況の分かれ目である50を二カ月連続で割り込み、市場の事前予想(42.0)も大きく下回った。

同: 地区連銀経済報告(ベージュブック) -「経済全般は全地域で弱まった」と判断。

12/5: 米11月の雇用統計-失業率 6.7%/前月比 53.3万人減少

これを受けて、円に対する米ドルは徐々に弱含んで推移している。ただ、市場のなかには、この円高傾向は長くは続かず、一定レベルで留まると予測している声もある。決算による米企業の海外拠点から本社への送金や、円の買い持ちの手仕舞いなどが予想されるからだ。ただ、これもクリスマス休暇に入る、22日にはおさまり、そこから、円高に再び、向かうという予測だ。

米ドルは、しばらく予断が許さない。

K